さらなる進化を遂げた『あさひかわデザインウィーク』で家具の街、旭川、東川町の魅力に触れる。
北海道旭川市における木工の歴史は開拓期の明治時代に遡る。第二次世界大戦後には全国へ販路を拡大しはじめるが、その大きなきっかけとなったのが1950年に開催された『旭川木工祭』であった。この木工祭が『旭川デザインウィーク』へと発展。ただし、この3年は新型コロナウイルス感染症の流行を受け、現地開催が見送られてきた。奇しくも前回の開催年である2019年に旭川市は、「ユネスコ創造都市ネットワーク」にデザイン分野で加盟認定された。それを背景に2022年から『旭川デザインウィーク』は家具に限ることなく、さまざまな産業や教育研究機関、周辺地域も参加し、内容を拡大した『あさひかわデザインウィーク』へと形を変えた。北海道が初夏を迎えた2022年6月、久しぶりの現地開催となったデザインウィークに全国から多くの人が集まった。
『あさひかわデザインウィーク』の開催とともに、旭川デザインウィークを前身とする家具に特化した産地展『Meet up Furniture Asahikawa』も新たに始まった。メイン会場の〈旭川デザインセンター〉では、各社がコロナ禍以降に発表した家具を展示。1階では、旭川で製造される椅子を通して旭川家具における近年を振り返る展示『ASAHIKAWA CHAIRS HISTORY 椅子で紐解く、旭川デザインの20年』も同時開催された(2022年9月25日まで開催中)。2002年から2020年までの約20年間で製作された代表的な椅子44脚が一堂に並び、いずれも自由に座って楽しめるという試みだ。すぐれたデザイン、身体が喜ぶかけ心地、細部に宿る職人技、といったさまざまな個性をもった椅子が、旭川という産地の力を提示するかのようであった。