どこか懐かしい街並み…なんと写真じゃない!? 架空の都市を作り続ける「マイクラ」の一大プロジェクト。
2022年、Twitterに投稿された一枚の画像が話題となった。一見何の変哲もない街並みの航空写真に見えるのだが、拡大してみると、精緻に作られた『マインクラフト』の都市サーバーだったのだ。「味噌汁市」と名づけられたこのプロジェクトの代表者、momoさんに話を聞いた。
「きっかけはマインクラフトの街づくりで有名な佐山県さんのYouTube動画です。大人数で一つの街を協力して作るというシステムに憧れ、2020年夏にこの「味噌汁市」プロジェクトを立ち上げました。主にTwitter経由で興味を持ってくれる人が集まり、現在では27名の制作員に恵まれています」
制作メンバーは学生が中心。電柱や信号機に詳しいメンバーもいて、ちょっとした道路装飾や標識にも抜かりがない。しかしこれほどリアルなのに建築士がいないというから驚きだ。メンバーは参加時に「住宅研修」を受け、ワールド内の建設に必要な知識と技術を身につける。限られたブロックの積み上げ方を実現したい形に応じてどうカスタマイズするかが上達のポイントだ。
東京・銀座にある小誌の出版社〈マガジンハウス〉の社屋を、「味噌汁市」の中心部に建設してもらった。編集部員も思わず声を上げる完成度の高さ。建設者のisland/島さんによれば、「特に苦戦したのは斜線の形状づくり。また道路斜線制限(敷地周囲の道路から発生する、斜め線の高さ制限)が設けられているので、設置場所には頭を抱えました」とのこと。
斜線の形状と角度を再現するには、ブロックの組み合わせをカスタマイズする技術が必要だ。
通常ブロックを使うか階段ブロックを使うか、それを互い違いに置くかを工夫するだけで印象が違って見えるという。「とにかく試行錯誤を怠らず時間をかける事で再現度の高い表現、より良い魅せ方にハッと気づけますし、何よりこういった点が僕が『マインクラフト』で現代建築をしてて奥深いなぁ...と感じるポイントです」