森美術館開館20周年記念展:アートで世界を学ぶ「教室」で宮島達男が語ったこと。
2003年に森美術館が開館してから20年。当初は収蔵品を持たない方針だったが、2005年から企画展の出品作品などを中心にコレクションを始めた。今ではおよそ460点の作品を所蔵している。今開かれている『ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会』展には他館からの借用も含め、およそ150点が展示されている。
展覧会の「科目」は国語・社会・哲学・算数・理科・音楽・体育・総合の8つ。社会や哲学など、世界の多様性を見せるものから算数や理科といった普遍的なものまで、アートを通じて世界を学ぶことができる。
展覧会に先立って開かれた関係者向けの内覧会で出展作家の一人、宮島達男は次のようなスピーチを寄せた。
「……世界の『わからない』を探究し、歴史を掘り起こし、未来に向けた新しい発見や発明を積み重ね、私たちの世界の認識をより豊かにしていきます。……ここまではChatGPTで作った文章です(笑)。ここからはチャット・ミヤジマでお送りします。この展覧会のテーマは実にエスプリが効いている。今の教育、とくに日本の教育を批判しているようにも思います。これまでの詰め込み型、暗記型の教育は未来を作りうるのだろうか? そうではなくて現代アートをベースにした教育でなければ世界をクリエイティブに変化させていくことはできないのではないか」
「というのも、答えがある暗記型の設問はChatGPTが代わりに答えを出してくれるが、コロナや戦争といった解決の糸口が見つからないような問題、複雑で困難な問題にはそうした経験知が通用しません。アートは直観知を大切にします。それは答えのない、感覚的な世界なのですが、この直観知からものごとを俯瞰し、知見を探り、問題解決を深く考えなければならない。そういう教育がこれからは必要になっていくんじゃないかと考えました」