京都で通常非公開の建物も見られる『ARTISTS’ FAIR KYOTO 2023』へ|青野尚子の今週末見るべきアート
「ARTISTS’ FAIR KYOTO」は京都府などが主催となり、アーティスト・京都芸術大学教授である椿昇がディレクターを務めるイベント。若手作家が自作を販売するアートフェアのほか、サイトスペシフィックな展示が行われる。3月4、5日の2日間にわたって行われたフェアでは40組の若手作家が作品を展示、販売した。合わせて3月12日まで、名和晃平やヤノベケンジらが京都市内の特別な会場で展示している作品を見ることができる。
会場の一つ、〈渉成園(枳殻邸)〉は東本願寺から東へ200メートルほどのところにある東本願寺の飛地境内地だ。水をたたえた池の周囲に木々や花が植えられ、東屋が点在する池泉回遊式庭園となっている。作品のうちいくつかは東屋の内部に展示されており、通常は立ち入ることのできない場所に入ることもできる。
庭園に入ってすぐ、「大玄関」ではヤノベケンジの《SHIP’S CAT (Mofumofu22)》が鎮座している。宇宙服のようなスーツからは柔らかそうな尻尾が出ている。この作品はSHIP’S CATシリーズの「モフモフ・コレクション」バージョン。ヤノベケンジが小西葵、山口京将らと結成した「モフモフ・コレクティブ」による作品になる。スーツの中には小さなネズミもいて、彼らはどんな関係なのかが気になる。
〈縮遠亭〉(しゅくえんてい)は四畳間と三畳敷の上段の間が斜めに連結された建物。卯月池に浮かぶ大島に建てられた茶室だ。そこに展示された加藤泉の新作は彼が近年取り組んでいる石作品シリーズ、プラモデルシリーズを展開させたもの。〈縮遠亭〉の脇で池を眺めている。