濃密な高校時代は一生の宝物[千春&明夏の女流棋士ここだけの話]
私はもともと中高一貫の中学校に通っていましたが、土曜日にも授業があり、院生の対局ともかぶってしまうため、高校ではスポーツの強豪校としても知られる女子校に進学しました。
私が入ったのは、運動やそれぞれの特技を支援してくれるクラス。バスケやテニス、陸上といった全国レベルの運動部の他に、有名なアイドルグループの研究生や劇団員などなど、ホントに個性豊かなメンバーが集まっていました。
何か一つのことに打ち込んでいるだけあって、みんなとにかくエネルギッシュ。よく食べて、よく寝て、めちゃくちゃ明るいクラスでした。特に運動部の友達は、学校に着いたら、まず朝ごはんのパンを食べて、2限目くらいになると食堂に食べ物を買いに行って食べ、昼休みにはお弁当……と、常にご飯を食べていました笑。私もまねして、一緒に早弁していましたけど、ホントに楽しかったなぁ。
全国レベルの部活で活躍する友達は、朝練、昼のミーティング、放課後の練習などで忙しく、見かねて授業中に仮眠時間をくれる先生もいたりしましたが、勉強もよくできる人が多かったです。やっぱり集中力がすごいのか、それとも“地頭”がいいのか……。少なくとも運動部の監督が担当する授業の時は、みんなまばたきもしないぐらいの緊張感で、授業を受けていました(笑)。
記録係などで休む日も多かった私は、定期テストの前には、過去問をもらったり、苦手な教科をつきっきりで教えてもらったり、まさにおんぶに抱っこで彼女たちにお世話になっていました。あっ、ただし、スポーツについては例外。体育の授業はもちろん超ハイレベルで、バスケットボールの試合をした時なんかは、右へ左へボールが行ったり来たりするのを、ただひたすら追いかけるので精いっぱい。最後は呆然と立ち尽くして見ていました。
そんな楽しいクラスでしたが、その道でトップを目指す人の集まりだったので、それぞれがいろんな葛藤を抱えながらの3年間でもありました。試合でうまくいかなくて一軍のメンバーから外されたり、どんなに練習してもなかなかタイムや記録が伸びなかったり……。部活で怒られて、悔し涙を流しながら授業を受けていた友達もいました。