『関西万博・IR予定地の整備費2300億円上ぶれ 想定の甘さ露呈』へのみんなの感想まとめ
【写真】
夢洲は大阪湾に浮かぶ埋め立て地で、面積は約390ヘクタール。大阪市による開発計画がバブル崩壊で頓挫するなどし、長らく「負の遺産」と呼ばれてきた。現在、大阪港の物流拠点となるコンテナターミナルや太陽光発電施設があるが、多くが空き地だ。
府と市は昨年12月にカジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画案の骨子を発表した際、市所有地の液状化防止の地盤改良や土壌汚染対策、地中障害物撤去などに約790億円かかると発表。大阪港の埋め立て事業の収益などによる特別会計「港営事業会計」から支出し、財源を起債で確保する方針を示した。
松井一郎市長は、IR事業者からの土地賃貸収入(年25億円)やインフラ整備負担金(203億円)などで返済できるとし、「IRが大失敗するなら、ものすごい自然災害が起き、夢洲が使えなくなる時だ」と主張した。
大阪・関西万博へのアクセス道路として先行利用する予定の阪神高速淀川左岸線の工事費も上ぶれした。現在建設中の4・4キロで、土壌汚染対策などに最大756億円が必要となった。事業費は当初想定の1162億円の1・6倍以上となる見通し。事業費は国が55%、市が45%を負担する。
夢洲への大阪メトロ中央線延伸部の整備費は、軟弱地盤対策や地中障害物の撤去などに96億円の追加費用が必要となり、整備費は250億円から346億円に膨らむ。市が約4分の3、国が残りを負担する。
同中央線の新駅「夢洲駅(仮称)」の増強や周辺通路の拡幅にも新たに33億円が必要となる。市は改札前広場や万博会場への階段を整備する事業者を公募したが応募はゼロで、市が約30億円をかけて進める。
巨額の追加費用が生じていることについて、松井市長は「試算が甘かった」「市の品質管理が非常にずさんだった」と認めつつ、いずれも容認する姿勢だ。「ベイエリアを大阪のにぎわいの拠点としたい」
東京都や国が旗を振った昨夏の東京五輪・パラリンピックでも、大会経費は当初の1兆3500億円から1兆4530億円に膨らむ見通しとなるなど、想定の甘さが問題となった。(添田樹紀)朝日新聞社