満開の桜と“共演”見納めに…寺の本堂をコンクリート製から木造に立て替えへ 木造建築の"強さ”で歴史つなぐ【福岡発】
浄福寺19代目住職・佐々木成明さん:
ことしは特に感慨深げで。桜の花が一生懸命咲いてくれたなと言う気持ちでいっぱい
1616年の創建とされる福岡市南区の浄福寺。博多区からこの地に移った際に建立された築47年の本堂は、見た目に反して鉄筋コンクリート製で、老朽化のために建て替えが決まっている。
浄福寺19代目住職・佐々木成明さん:
これは天井裏の写真なんですけど、鉄筋の柱がかなり傷んで、支えとしては機能していないということで、地震とか大きな揺れが生じると倒壊する危険性もあるということです
浄福寺19代目住職・佐々木成明さん:
木造の本堂は、少しずつ修復をしながら何百年、建物として維持できるので。子々孫々と皆さまが安心して手を合わせることができるお寺の本堂の建立という願いを持って、300年、400年持つ建物ということで、木造本堂での建て替えを決意しました
400年以上続いてきた寺の歴史を、これからも繋いでいくために…
木造での建て替えを請け負うのは、この道50年の宮大工・花元数馬さん。国宝級の寺の修復も手がけるほどの腕前で、国の登録有形文化財となっている浄福寺の鐘楼の修復にも携わった。
花元さんはいま、熊本や大分で買い付けた木材を製材して乾燥させ、本堂建てかえの準備を進めている。
宮大工・花元数馬さん:
日本全国を見てもらっても分かるんですけど、木造建築の方が築500年や300年のものが京都や奈良、滋賀県には何千軒もある。その歴史が答えを出している。木造建築がいかに強いか
日本古来の木造建築を知り尽くし、現代の名工にも選ばれている花元さんだが、4年前の事故の後遺症で高所での作業が難しくなっている。今は、自らの技術や経験を弟子たちに繋ぐことに力を入れている毎日だ。
今回、棟梁を任せたのは松村八潮さん。花元さんのもとで18年の経験を積んだ、最も信頼できる一番弟子だ。
松村八潮さん:
すごいプレッシャーです。師匠が今まで建ててきたものが素晴らしい建物ばかりなので。僕が引き継いだとき、その技が廃れないようにしないといけない
木材の乾燥が終わる2023年1月には、解体が始まる。
この地で47年親しまれてきた本堂と、満開のサクラを一緒に眺められるのは、これが最後となる。
浄福寺19代目住職・佐々木成明さん:
この47年の喜びと悲しみを見届けてくれた本堂のお別れに際して、最後にこの桜が、ことしは特に美しく咲いてくれたような思いで見ています
浄福寺19代目住職・佐々木成明さん:
次の世代、その次の世代の方々も今日と同じように、この美しい桜を見上げて頂けるような、そんなご縁が繋がっていくようなお寺にしたいと思っています
(テレビ西日本)