初めての着物、親世代は「色無地」だった?「色無地と江戸小紋」の魅力をプロが解説
撮影=桂太(フレイム) 『美しいキモノ』2022年夏号より
一色染の無地の着物=色無地は、一つ紋を入れて格調のある帯を合わせれば準礼装となるほか、色を選べば色喪服にもなり、また帯を替えればおしゃれ着としても使えます。用途が広く、かつては必須の花嫁道具とされていました。控えめな印象が好まれ、いまも茶道などで愛用されます。
かつて着物を購入する際、初めの一枚に色無地をすすめられた方も多いでしょう。これは、訪問着が一般化する前、昭和50年代ごろまでの話で、色無地は準礼装からおしゃれ着まで、用途が広く経済的だったためです。
当時のお母様方は色無地に黒羽織で入卒式に集まるのが定番でしたが、いまは入学式・卒業式の付き添いもすっかり訪問着姿に変わりました。色無地や江戸小紋は、控えめでいたい茶道の席や通なよそゆきとして、何枚かあとで検討するとよいかもしれません。
<写真>色無地にズームイン。色無地は色はもちろん、地紋の有無や大きさ、生地のツヤ感などによって、華やかなものから奥ゆかしいものまでイメージが変わります。
江戸小紋は、遠目には無地に見える、極小の一色型染が施された着物です。色無地と同様、格調高い柄を選べば、帯合わせにより略礼装からおしゃれ着まで用途が広がります。ただし、地域によっては柄によらず、しゃれものとして扱われることもあるようです。
江戸小紋の模様は多彩。こちらは「鮫小紋」と呼ばれ、格調高い柄のひとつとされます。おめでたい席で装うのか、慶事にも弔辞にも着たいのか、しゃれ味を出したいのか、用途によってふさわしい柄を選びましょう。