丸の内を散歩しながら彫刻作品を楽しむ。50周年を迎えた「丸の内ストリートギャラリー」が開幕
第43回となる今回展示されているのは、現代美術作家による新作5点、継続作品2点、入れ替え作品12点の計19点。新作を制作した作家としては、舟越桂、名和晃平、H&P.シャギャーン、中谷ミチコ、松尾高弘が名を連ねる。丸の内を散策しながらアートを楽しめる本イベントを、新作を中心にレポートしたい。
丸の内仲通りビル付近にある舟越桂の《私は街を飛ぶ》(2022)は、舟越のこれまでの作品に共通する顔立ちの彫刻となっている。今回舟越は、木彫ではなく屋外に設置することを考慮してブロンズによって作品を制作。頭部に教会や本、並木道が配された本像は鮮やかに着色されたうえで陰影も描きこまれており、時間や季節の移り変わりによって様々な表情を見せるという。
馬場先通りとの交差点付近にある中谷ミチコの《小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥》(2022)は、魚の泳ぐ水をスカートに入れて大事そうに運ぶ少女をレリーフで表した彫刻作品。妊婦をモチーフに制作されたこの少女は、一般的なレリーフとは異なり凹凸を反転させることで像を結んでいる。凹凸によって「不在」を表現してきた中谷が、誰もがそうであった胎児という「実在」を街中に現出させた。
アンリ・シャギャーンとピエール・シャギャーンが04年にウィーンで制作した2枚の絵をもとにつくられたH&P.シャギャーン《Matching
Thoughts》(2022)は、丸の内仲通りビルの向かい側に設置されている。近代彫刻への敬意が込められた本作は、あえて先鋭を目指さなかったその造形に、様々な問いが込められた。
名和晃平《Trans-Double
Yana(Mirror)》は2012年に制作した作品を、今回のストリートギャラリーのために台座を新たにし、新作として丸ビルの裏手に設置したものだ。3Dスキャンしたポリゴンの表面にエフェクトをかけ、そのデータを再び実体化させることでつくられた本作。情報データの表皮によってそのディティールはかたちづくられており、現代における実存を問いかける。
松尾高弘は大手町ビルのエントランス2ヶ所に光のインスタレーション《Prism\