高さ4センチの郷土玩具「だるま鈴」と旅する写真家…美しい風景と撮り続け1万枚
宮原さんは北九州市出身。2011年に転勤で大分市に引っ越してきた。現在は九州電力八丁原発電所(九重町)に勤める。温泉に夢中になって別府市に居を構え、九重町と行き来する生活を送っている。
以前、別府市のセレクトショップで地元の豊泉堂がつくるだるま鈴を見つけ、かわいらしい姿に一目ぼれした。その場では購入ができなかったものの、すぐに手に入れ、「姫だるまさん」と名付けた。
元々登山が好きで、山や温泉などの写真を撮っていたが、6、7年前、何げなく姫だるまさんを置いて撮影してみたところ、風景とマッチすることに気づき、撮影するようになった。
写真家としては「kazumaro(かずまろ)」という名前で活動している。これまでに撮ってきた写真は1万枚以上。ふとした瞬間を捉えるため、カメラと姫だるまさんは常に持ち歩く。落としてしまうこともあるといい、今は6代目の姫だるまさんと旅をしている。
ただ撮るだけでは風景に埋もれてしまうため、時には地面に寝そべるような体勢になったり、気温が氷点下の中、冬の山頂で日の出の瞬間を待ち構えたりしている。納得するまで撮り続け、1回につき20~30枚になるという。「良い写真が撮れたときには思わずにやけてしまう」と話す。
これまでに大分、別府両市で計3回写真展を開催している。インスタグラムのフォロワー数も徐々に増え、1600人を超えた。「姫だるまさんの表情が不思議と違って見える」、「この場所どこですか」と興味を持ってもらえることがうれしいという。
「写真を撮りにいく、というより自分が好きな山や温泉に行くついでに写真も撮っている感覚。意気込んでいないから苦にならない」と笑顔を見せる。
21年8月から八丁原発電所で働き、会社側に「発電所だけでなく、県内の魅力を紹介したい」と伝え、同所内に計約55点のだるま鈴の写真を常時展示している。宮原さんは「写真をきっかけに、九重や発電所に来てくれたらうれしい」と話している。