彫刻と映像とで世界に浸る、 アルベルト・ジャコメッティ展。
1901年、スイスで画家の父の元に生まれたアルベルト・ジャコメッティ。幼い頃からデッサンや彫刻に取り組み、22年にパリに移り住んでからは66年にスイスで亡くなるまで、フランスで創作を行った。
シュルレアリストな作風で名声を得るも早々に決別し、人物モデルを対象とした手法に回帰したジャコメッティ。人物像がいかに空間に存在して空間に影響を与えるかを追求し、50年代に入ると彫刻作品の身体は次第に細くなっていく。見たままにモデルを形にすることを突き詰め、フォルムを究極的に単純化することで人物の真の姿を立ち上らせたのだ。
その20世紀を代表する彫刻家の作品展が現在、〈エスパス ルイ・ヴィトン大阪〉での3回目の展覧会として開催されている。
《大きな女性立像Ⅱ》(1960年)をはじめとした7つの作品が展示されているのは、5mもの天井高を持ち、自然光を取り入れた明るく開放的な空間。昼の光で見る彫刻は、ブロンズの微妙な色の違いを知ることができ、新たな気づきをもたらしてくれる。一転して夜は、表面の凹凸による陰影が作品の存在感を際立たせる。昼と夜で異なる表情が堪能できる仕掛けがユニークだ。
同時にスクリーンではエルンスト・シャイデガーとペーター・ミュンガーによる映像作品(1966年、49分45秒)を上映。アトリエでの創作シーンや、インタビューに答えるジャコメッティの姿を収めた映像は、芸術家の思考に触れる貴重な体験をもたらしてくれる。
パリのアトリエでのジャコメッティを写した壁一面の写真2点も展示。創作のシーンに立ち会うような気持ちにさせる。●〈エスパス ルイ・ヴィトン大阪〉大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトンメゾン 大阪御堂筋 5F TEL 0120 00 1854。~2023年6月25日。12時~20時。不定休(ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準ずる)。入場無料。