「通潤橋」国宝指定へ、地域潤す先人の知恵に感謝…熊本地震や豪雨被災から復旧
通潤橋は1854年建築。建造物の国宝指定は県内2例目となる。熊本地震で水路から水が漏れ、2018年には豪雨で石垣が崩れたこともあった。橋の保全は通潤地区土地改良区が担い、20年5月に修復が完了した。梅田穰町長は「国宝指定で、多くの人に橋や町の魅力を知ってもらう機会になる」と語る。
修復作業は当時の建設方法などを記した技術書「通潤橋仕法書」に従い、赤土や石灰などを混ぜて作った漆喰で石材同士を接着した。改良区統括監事の中村豊光さん(72)は「当時の作り方を体験できたのは財産。次の世代にも伝えていきたい」と力を込めた。
地元住民も期待を寄せる。道の駅通潤橋で働く片山千恵子さん(69)は「町の活性化にもつながる」と喜びを語った。通潤橋の水で米作りをする改良区事務局長の本田潤一さん(65)は「先人には感謝しかない。橋を守り続けることが農業を続ける意欲にもなる」と語った。