『ふるさと納税、自治体23%が赤字 上位20位、全寄付の2割占める』へのユーザーの意見まとめ
【返礼品のない自治体はHPに「お願い」を掲載】
ふるさと納税で応援したい自治体に寄付すると、所得税や居住自治体に納める住民税が軽減される。居住自治体には減収となる。
総務省が7月に公表した資料を基に、自治体ごとの20年度の収支を、寄付受け入れ額から、住民税の減収額と経費(返礼品の調達費や仲介サイトへの手数料など)を差し引く形で集計した。
赤字なのは全国で471自治体だった。都道府県別では、東京57▽埼玉47▽愛知39▽大阪30▽千葉29▽神奈川20――と3大都市圏が上位を占め、この6都府県で全体の半分に迫る。自治体の収支を合計しても、赤字は東京の613億円が最多で、神奈川271億円、大阪165億円、愛知138億円と続いた。
一方、33道県が黒字となり、上位は北海道418億円、鹿児島190億円、宮崎187億円だった。北海道は全179自治体中、赤字が4自治体しかなかった。
制度の趣旨通り、全体的には都市と地方の財政格差が縮小している構図だが、20年度の寄付受け入れ額は上位の20自治体だけで全体の2割を占めている。肉や海産物など人気のある返礼品を売りにする自治体が多い。
赤字自治体数が、茨城16▽栃木15▽群馬13と多い北関東など、制度の恩恵を受けられていない地域もある。赤字自治体は全国的に広がっており、一つもない都道府県は3県にとどまる。赤字自治体の3割は、市より規模の小さい町村だった。
ふるさと納税による住民税の減少額は、自治体の財源不足を補う地方交付税を国から受け取れる「交付団体」なら、国から4分の3が補塡(ほてん)される。「交付・不交付」は翌年夏に決まるが、仮に前年の交付・不交付を当てはめ、交付団体の収入に補塡分を計上しても、なお267自治体が赤字だった。東京都内の市区町村と全国の政令市を除いても、赤字は201自治体あった。【山下俊輔、駒木智一】
◇恩恵受ける地方、限定的か
ふるさと納税に詳しい平田英明・法政大教授(日本経済論)の話 都市から地方にある程度お金が流れている構図なのは評価できるが、地方で恩恵を受けているのはビッグコンテンツ(魅力ある返礼品)を持つ自治体に限られている可能性がある。もともと財政基盤が弱い地方の自治体にとって、赤字の規模次第では、ふるさと納税で傷に塩を塗り込まれるような形になる。国は地方への影響を把握し、寄付額に対する返礼割合を現在の「3割以下」より下げるなど、制度の見直しが必要かを考えてほしい。
◇ふるさと納税
納税者が出身地など応援したい自治体に寄付すると、自己負担の2000円を除いた額が、国税の所得税や居住地の住民税から控除(還付・減額)される制度。収入や家族構成に応じて限度額がある。都市と地方の格差是正を目的に、2008年度に始まった。15年度の限度額引き上げや申請簡略化で自治体による返礼品競争が過熱し、寄付額が急増した。