文化財、何が出るかな? ピンバッジガチャが人気 奈良文化財研究所
◇飛鳥資料館職員の手作り
モチーフにした展示品は、飛鳥寺跡の「舎利容器」「馬鈴」▽飛鳥池工房遺跡の「富本銭」▽牽牛子塚(けんごしづか)古墳の「ガラス玉」「七宝飾金具」▽石神遺跡「須弥山(しゅみせん)石」――といった明日香村で出土したものと、桜井市の山田寺跡から出土した「十二尊連坐磚仏(じゅうにそんれんざせんぶつ)」の計8点。
飛鳥資料館で展示作業や来場者への説明に携わる補佐員、辻本あらたさん(46)らが発案した。カプセルトイ自販機は、同じ奈文研の平城宮跡資料館(奈良市佐紀町)にもあり、平城京跡出土木簡の缶バッジなどが出てくる。しかし、飛鳥資料館のピンバッジは辻本さんらが一つ一つ手作りしているのが特徴。バッジの台に写真を貼り付けて樹脂で固めた素朴な造りだが、2022年8月に設置してから月100~200個が売れるという。両館とも収益は奈文研が設けた「文化財保存修復研究基金」に充てられ、災害で破損した遺物の修復や文化財保護の国際協力事業に役立てられる。
文化財関連のカプセルトイは13年、土偶(どぐう)などのミニチュアを入れた自販機が東京国立博物館(東京都台東区)に置かれ話題を呼んだ。今年3月には長崎県松浦市の同市立埋蔵文化財センターが、鎌倉時代の元寇(げんこう)の遺物をモチーフにしたグッズの自販機を展示施設に設置するなど、各地の施設で登場している。
飛鳥資料館の石橋茂登・学芸室長は「うちのカプセルトイ自販機はグッズを業者に頼らず、職員の手作りという点が自慢。来場した子どもたちが楽しみながら文化財を学ぶきっかけにしてほしい」と話している。