『カツオ横流し、長年の慣行か 波紋広がる漁協職員立件 焼津港』へのみんなの感想まとめ
【図解】日本のサンマ漁獲量の推移
水揚げされた魚を横流ししたとして、水産加工会社幹部らと共に市場を運営する漁協の職員も起訴されたからだ。27日からは窃盗被害に遭った水産会社が漁協などに損害賠償を求めた訴訟が始まる予定で、「慣行」として長年続いてきた不正の実態がどこまで明らかになるか注目される。
焼津港は江戸時代からカツオ漁が盛んで、現在はマグロの遠洋漁業基地としても知られる。焼津漁協によると、2021年の水揚げ量は全国3位の約14万トンに上り、このうちカツオは約9万4000トンで全国1位だった。
静岡県警は昨年10月、水揚げされたカツオを盗んだとして、窃盗容疑で水産加工会社元役員や運送会社社員、漁協職員の計7人を逮捕し、うち5人が起訴された。競り担当の漁協職員が運送会社の運転手らと共謀し、冷凍カツオの一部(約4.4トン)を計量せずに持ち出したとされる。
提訴した会社は、19~21年に計約148トン分、約3000万円の損害を被ったと訴えている。漁協の内部調査では、既に退職した元係長も08年ごろから約3年間、親族側に横流ししていたことが判明。漁協に告発が寄せられたが、元係長らが関与を否定したため深く追及されなかったという。
このほか「社員旅行での遊興費や年末年始の飲み会の費用の一部」に充てるため、魚を加工会社に渡して現金を受け取るケースがあった。こうした慣行的な「抜き取り」は、数十年前から行われていたとされ、問題の根深さが浮かび上がった。
漁協関係者は不正が繰り返されてきた背景について、「荷さばき所などの施設は大型化しているが、漁協職員の人数は減っている。目が行き届かないことがあったかもしれない」と指摘する。
漁協は事件後、計量方法の改善などの再発防止策を講じた。ただ、漁業関係者は「原因や責任の所在が明らかになっていない」と話し、信頼回復には時間がかかりそうだ。