ウクライナ支援のために美術館が結束。ベルリン・新ナショナルギャラリーの試み
このデモに参加して友人たちと様々な言葉を交わしたことから、ウクライナへの寄付を集めるアクションを行おうと思ったと、新ナショナルギャラリー館長クラウス・ビーゼンバッハは語る。
「この不安のなかでひとりではないと思えること、一緒に行動することが大切じゃないかと思ったんです」。
ベルリン・ビエンナーレ、ギャラリー・ウィークエンドをはじめ、博物館島にある美術館群やベルリン芸術大学らも賛同し、3月5日12時から6日24時までの36時間の寄付アクションがスタートした。
ミース・ファン・デル・ローエが手がけた「新ナショナルギャラリー」の常設展示室は地下フロア。ちょうど空いていた1階のエントランスホール部分に、誰もが自由に参加できるステージ「オープンマイク」をつくり、常設展のなかからオラファー・エリアソンの作品、そしてウクライナ出身の彫刻家、アレクサンダー・アーキペンコの作品を展示した。
ステージには飛び入りでミュージシャンが演奏を行なったり、来場者が自分の不安や思いを吐露したりもした。
昨晩までの時点で約4万ユーロの寄付が集まったという。このお金は、まずはモルドバとウクライナ国境にドイツ行きのシャトルバスを手配するために当てられ、そのほかオデッサとキエフの病院の薬、ドイツ国内の宿泊施設への支援になるという。
新ナショナルギャラリーの横で現在工事が進んでいる20世紀美術館。
その工事現場にはハンス・ハーケが前回のドクメンタから始めたプロジェクト「Wir (alle) sind das
Volk 私たちは(皆)人民である」のポスターが貼られていた。12ヶ国語で書かれたこのスローガンは、1989年に東ドイツの民主化運動、平和革命の際に叫ばれたものだが、近年では極右のデモなどで移民や難民に反対する際の言葉として曲解されて使われている。ハーケは、この「私たちは人民である」という言葉に(皆)と注釈を入れて虹色の背景の上にプリントした。ウクライナからの国境で人種差別が行われたという報道もある。すべての助けを求めている人への連帯を、そして一刻も早く平和が戻ることを願ってやまない。