ルーヴル美術館展からMEET YOUR ART FAIR、ARTISTS' FAIR KYOTOまで。今週末に見たい展覧会ベスト8
山梨県立美術館で新たな企画シリーズ「LABONCHI(ラボンチ)」がスタート。その第1弾は、2月28日に始まったアーティスト・たかくらかずきの個展「メカリアル」だ。
たかくらかずきは、3DCGやピクセルアニメーション、3Dプリント、VR、NFTなどのテクノロジーを使用しながら東洋思想を作品に取り込む山梨出身のアーティスト。今回は、同じく山梨県出身で日本におけるシュルレアリスムの展開の黎明期より活躍した画家・米倉壽仁(よねくら・ひさひと)の作品鑑賞を出発点に作品を制作したという。
展示はリアル空間(美術館)、芸術の森公園、そして仮想空間で展開。美術館で発表された、山梨で広く見られる「道祖神」から着想を受けた新作平面に加え、仮想空間では、2月27日までプレオープンとして開催された、たかくらの「大BUDDHA
VERSE」展をリニューアルした展示が行われている。公立美術館で新たなテクノロジーを取り入れた山梨県立美術館の試みに注目したい。
会期:2023年2月28日~3月26
会場:山梨県立美術館ギャラリー・エコー(美術館エントランス)、芸術の森公園
住所:山梨県甲府市貢川1-4-27
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:3月6~13日、20
料金:無料
「愛」の表現の諸相を紐解く。「ルーヴル美術館展 愛を描く」(国立新美術館)
古代以来、西洋美術の根幹をなすテーマのひとつである「愛」。ルーヴル美術館の膨大なコレクションからそんな「愛」をテーマにした73点の絵画を精選し一堂に展示する「ルーヴル美術館展
愛を描く」が、国立新美術館で開催中だ。
本展は、西洋社会における様々な愛の概念が絵画芸術にどのように描出されてきたのかを、ヴァトーやブーシェ、フラゴナール、ジェラール、シェフェールなどの名画を通して紹介するもの。古代神話からキリスト教の主題、そして19世紀ロマン主義の悲劇まで、約3世紀にわたる西洋絵画の名品で愛の表現の諸相を紐解く。
展覧会はヨーロッパ文化の源流における「愛の誕生」を象徴する作品から始まり、18世紀フランス絵画の至宝とされ、26年ぶりの来日となったジャン=オノレ・フラゴナールの《かんぬき》(1777-78頃)や、フランス革命後に制作された作品などが展示。普遍的なテーマである「愛」にまつわる多様な表現を味わえる機会をぜひお見逃しなく。
会期:2023年3月1日~6月12日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火(ただし3月21日・5月2日は開館)、3月22日
料金:一般 2100円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 /
中学生以下無料 ※事前予約制、2023年3月18日~31日は高校生無料観覧日(要学生証提示)
世界に2点だけ存在する作品も。「日本橋高島屋開店90年記念『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』」(日本橋高島屋 S.C.)
北欧の暮らしにおける美しいデザインの数々から、その思想を「織田コレクション」を中心に垣間見ることができる「日本橋高島屋開店90年記念『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』」が始まっている。
本展は、椅子研究家・織田憲嗣(おだ・のりつぐ)が約半世紀にわたって収集・研究を行ってきた、世界的にも高い評価を得ている「織田コレクション」(北海道東川町所蔵)をもとに会場を構成。家具からインテリア、食器まで総勢70名以上のデザイナーによる300点以上の作品が展示されている。
アルヴァ・アアルトやフィン・ユールなどの作品を通じ、19世紀末から北欧に起こる「美が人生を豊かにする」という考えがいかに暮らしのあり方に反映されているかが窺い知れる。また、世界に2点だけ存在するというハンス
J・ウェグナー《ザ・チェア プロトタイプ》が見られるのも織田コレクションならではだ。
会期:2023年3月1日~21日
会場:日本橋高島屋 S.C. 本館8階ホール
住所:東京都中央区日本橋2-4-1
開館時間:10:30~19:30(最終日~18:00)※入場は閉場30分前まで
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料
トレンドに流されることのないデザイン。「The Original」(21_21 DESIGN SIGHT)
社会に深く影響を与えるデザインを「The Original」と定義し、トレンドに流されることのないその魅力と影響力をひも解き、見つめ直す企画展「The
Original」が東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTでスタートした。
本展は、すべての端緒となる「The
Original」をたどることで、そのエッセンスを浮かび上がらせると同時に、デザインの文脈とそれらを生み出したデザイナーのつながりも可視化するもの。椅子をはじめとする家具から食器、玩具に至るまで約150点のプロダクトが並び、それらに付随する写真やキャプションでは「The
Original」の背景となる考え方も紹介されている。
ギャラリー1には、20世紀半ばのイタリア製プロダクトが配置された小さな空間が2つ登場。メイン会場のギャラリー2には、約100点以上のプロダクトがゆるやかな関連性と時系列を有しながら展示されている。個々が独創性を持ちながらも互いに共鳴しあい、居心地を保つことが可能であるのも「The
Original」の魅力を味わってほしい。
会期:2023年3月3日~6月25日
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
電話番号:03-3475-2121
開館時間:10:00~19:00 ※入場は18:30まで
休館日:火(3月21日は開館)
アートと音楽の架け橋。「MEET YOUR ART FAIR 2023『RE : FACTORY(リ ファクトリー)』」(寺田倉庫)
日本の音楽業界で絶大な影響力を持っているエイベックス・グループ。同社が主催するアートフェア「MEET YOUR ART FAIR 2023『RE :
FACTORY(リ ファクトリー)』」が、3月5日まで東京・天王洲の寺田倉庫で開催されている。
コンセプトは「アート×音楽」。美術家・大山エンリコイサムをメインアーティストとアーティスティック・ディレクターに迎え、会場は28名のアーティストによる作品100点以上の構成だ。参加作家はひとつの壁面またはエリアを使って作品を展示しており、鑑賞者は自由に会場を回遊し様々な表現と出会うことができる。
宇治野宗輝や川端健太、小畑多丘、谷敷謙、佐藤允などによる、音楽やサウンドに関連する要素を取り入れてつくられた作品が多数展示されているいっぽうで、メインアーティストである大山の代表的なモチーフ「クイックターン・ストラクチャー」の迫力が感じられる幅18メートルの大作《FFIGURATI
#253》(2019)や、潘逸舟、加賀美健、川人綾など独自の表現手法を用いた作家の作品を楽しむことも可能だ。
会期:2023年3月3日~3月5日
会場:アートフェア 寺田倉庫G1ビル / ライヴパフォーマンス 寺田倉庫G3ビル
住所:寺田倉庫G1ビル 東京都品川区東品川2-6-4 / 寺田倉庫G3ビル 東京都品川区東品川2-6-10
開場時間:11:00~18:00 ※3月5日~17:00
料金:一般 2000円(前売 1500円) / 学生 1500円(前売 1000円)
若手作家が羽ばたくプラットフォーム。「ARTISTS' FAIR KYOTO 2023」(京都府京都文化博物館 別館ほか)
2018年の初回以降、京都府が毎年開催しているアートフェア「ARTISTS' FAIR KYOTO」。その6回目が開催を迎えた。
今年は40組の作家が参加。会場は、京都府京都文化博物館
別館、京都新聞ビルのほか、東本願寺の飛地境内地の庭園「渉成園」も新たに加わった。ドットアーキテクツによる金網が特徴的な京都府京都文化博物館
別館では、平面作品が中心に展開。印刷工場の雰囲気が残される京都新聞ビル 地下1階では、毎回インスタレーションを中心に見応えある展示が行われる。
新会場・渉成園では、通常非公開の茶室や書院など8ヶ所で、9組の若手作家と14組のアドバイザリーボードの作品を見ることができる(アドバイザリーボードの展示のみ3月12日まで)。若手作家が羽ばたく土壌を耕し続けるAFKで、それぞれの作家の実践を目撃してほしい。
会期:2022年3月4日、5日(涉成園のアドバイザリー展覧会のみ3月12日まで)
会場:京都府京都文化博物館 別館(京都市中京区三条高倉)、京都新聞ビル
地下1階(京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239)、渉成園(京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町)
電話番号:075-414-4219
開場時間:10:00~18:00(最終入場17:30) ※渉成園は9:00~17:00(最終入場16:00)
料金(京都府京都文化博物館 別館):一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生以下無料 ※京都新聞ビル 地下1階は無料
料金(渉成園):一般 2000円 / 大学生 1000円 / 高校生以下 250円
モダンデザインの歴史を追想。「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」(東京都庭園美術館)
社会が急激な変化を遂げた1900~30年代におけるモダンデザインと装飾芸術の関わりに焦点を当てる「交歓するモダン
機能と装飾のポリフォニー」展が、3月5日に東京都庭園美術館で閉幕する。
会場は年代順の4章構成。フランス、ドイツ、オーストリア、日本から、絵画や彫刻、家具、食器、洋服、それらを収める建築や都市など、70名による作品や資料約400点が展示されており、「モダン」の歴史を追想することができる。
濃密な時代の装飾芸術、デザインの奥深さ・幅広さを感じとれる本展。機能と装飾の調和を提示する本展を訪れたなら、生活と芸術の距離がアップデートされることだろう。
会期:2022年12月17日~2023年3月5日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1400円 / 大学生 1120円 / 中学・高校生 700円 / 65歳以上 700円
イヴ・クラインの「非物質性」をたどる。「時を超えるイヴ・クラインの想像力―不確かさと非物質的なるもの」(金沢21世紀美術館)
吸い込まれるような鮮やかで深い青、いわゆる「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」で知られるイヴ・クライン。その作品を中心に、同時代の作家や現代の作家たちに共通する「非物質性」をテーマとした展覧会「時を超えるイヴ・クラインの想像力―不確かさと非物質的なるもの」が、3月5日まで金沢21世紀美術館で開催されている。
本展では、クラインの作品に加え、彼と影響関係にあった同時代のルーチョ・フォンタナやピエロ・マンゾーニをはじめ、草間彌生や白髪一雄などの前衛作家、さらにキムスージャや布施琳太郎を含む現代作家たちによる、60点以上の作品群を展示。クラインの表現活動の核となる色や火、音、空虚など非物質的エレメントをキーワードに、その精神性や現代とのつながりを探求していく。
また、クラインの創造に呼応するようにキムスージャ、トマス・サラセーノ、布施琳太郎、ハルーン・ミルザの現代作家4名も参加。彗星のごとく登場したイヴ・クラインを中心とする芸術家たちの「非物質性」を志向する創造的探求をぜひ会場で確かめたい。
会期:2022年10月1日~2023年3月5日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)
料金:一般 1400円 / 大学生 1000円 / 65歳以上 1100円 / 小中高生 500円