漫画家くらもちふさこが語る創作への思い「まだ目覚めていないのならば見てみたい」〈AERA〉
――今回の全集では、連載当時のカラーページもそのまま収録されるそうですね。原画展では当時のカラー原稿の美しさに、見入っている方も多かったです。
原画展では「こんな色だったのか」と驚いている人と、「そうそうこんな色だった」という人と、二通りの感想があったとうかがいました。若い読者の方は雑誌掲載時に見ていないし、当時から読んでくださる方は思い出してくださったんでしょう。
原画展をやってみて、予想以上にたくさんの方が観てくださったことに驚きました。自分では無我夢中で描いていて、毎回、描き終えたらそこで終わって、閉じ込めていく感じ。振りかえらずに新しいものを描くのがあたりまえだと思っていました。今回のように、何十年かあとに、作品をひもといて観ていただく機会があるとは考てもいませんでした。
配信が始まった全集では、カラーページだけでなく、連載の予告カットまで「イラストギャラリー」としてまとめてくださっています。まさにお蔵出しで、嬉しいです。
――全集のカバーデザインには、その巻ごとにくらもちさんが書き下ろした題字が入っています。
自分の字は恥ずかしいんですけれど、アイデアが面白いな、と思ってしまって。私、アイデアが面白いとすぐノッちゃうんです。面白いことが好きなんですよ。反応できないこともあるんですが、逆に言うと、「それ、面白い」と思ったら、やらずにはいられない(笑)。
――くらもちさんのお話をうかがっていると「面白い」というのは、キーワードですね。
私の中では、「面白い」って遊び心に近い感覚なんですよね。「遊んでいる=楽しいこと」だと思うので、遊び心が私のなかに浮かんできてくれたらノッちゃう、って感じです。