『「コロナで路上生活」38歳元派遣の“10年前の後悔”』へのユーザーの意見まとめ
その多くは非正規だが、東洋経済オンラインの連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」の著者で、貧困問題の最前線を取材するジャーナリストの藤田和恵氏は「彼らや彼女たちの中には、正社員にはなりたくないと語る人もいる」と言う。いったいどういうことなのか。
【写真】生活保護を申請したら悪質な無料低額宿泊所に放り込まれた20代の男性貧困に陥った若者たちの実態に4日連続で迫る特集「見過ごされる若者の貧困」1日目の第2回は、若者が正社員を拒む背景について、藤田氏がリポートする。
【特集のそのほかの記事 ※第4回も本日公開】
第1回:「時給高いから上京」の21歳女性を襲った“想定外”
第3回:「親が学費負担放棄」学生を絶望させる新たな貧困
第4回:データで解明「コロナで階級社会化が加速」の衝撃
派遣労働者だったツトムさん(仮名、38)は、正社員にならないかという誘いを断ったことがある。その直前に病気で2カ月ほど仕事を休んだからだ。今から10年ほど前のことだという。 当時の心境について、ツトムさんは「会社に迷惑をかけてしまったという負い目があったんです」と振り返る。
それからずっと同じ職場で派遣労働者として働いてきた。その後、新型コロナウイルスの感染爆発の兆しが見え始めた今年5月、雇い止めに遭った。
ほどなくして路上生活となったとき、ツトムさんの胸中にはどんな思いが去来したのだろうか。
仕事は倉庫内の家具家電などの搬出作業だった。労働基準法などまるで無視の職場で、月の残業時間が200時間近くになることもあった。睡眠をとる暇もなく、その代わり月収は多いときで60万円ほど。きつい肉体労働のうえ、異様な長時間労働だったので、派遣労働者は次々と入れ替わった。前へ1234次へ1/5ページ