「エクソシスト」の「悪魔払い」はなぜ今も実際に行われているのか? 異端の歴史をひもとく
エクソシズムといえば、カトリック教会によるものがおそらく最も有名だが、どのようなエクソシズムでも、中心にあるのは悪との終わりなき戦いだ。しかし、悪の定義は一つではない。信仰、慣習、文脈によって異なり、悪魔、悪霊、あるいは、単純な誘惑などさまざまな形をとる。エクソシズムはこれらの悪と戦う武器であり、どのような邪悪な力も追い出し、浄化し、そうした力から身を守る。
紀元前千年紀のメソポタミアでは、アーシプと呼ばれる宗教的職能者が病気や混乱をもたらす悪魔を追い払っていた。アーシプは霊能者として、お守りを使い、複雑な儀式を行い、必要に応じて、悪魔の力を借りた。
古代ギリシャ語のダイモンは、現代の「悪魔(デーモン)」の語源となった言葉で、神のような霊や超自然的な力を意味する。ダイモンには善と悪があり、邪悪なダイモンは追い払うべきものだった。
西暦1世紀の歴史家ヨセフスは、旧約聖書に登場するエルアザルの物語を詳しく書いている。エルアザルは悪魔を鼻の穴から出し、ソロモン王の名を繰り返し唱えて人々を悪魔から解放したという。このエピソードは、ユダヤ教の伝統にも一種のエクソシズムが存在したことを証明している。