「女性の見せ場」刻む 暗い地下歩道、壁画で華やかに 千葉・松戸
地下歩道では、2017年から海外アーティスト3組が壁画を制作しており、今回で4作品目。暗い雰囲気を壁画で明るくしたいと、松戸駅周辺の町会や自治会で作る「松戸まちづくり会議」(堀尾真誠会長)と、国内外のアーティストを招いて制作活動を支援する一般社団法人「PAIR」が連携して壁画制作が行われてきた。
壁画は、縦約4メートル、横12・6メートル。倉敷さんは、21年7月から現地調査を始め、近くの松戸神社の神幸祭での女性の役割が、手古舞(てこまい)と獅子屋台を引く子どもの付き添いしかないことに気付いた。「伝統によって祭りの中で主役になれない女性の見せ場を刻みたかった」といい、手古舞の衣装にデザインされるボタンと獅子が描かれた同神社の神楽殿にある杉戸絵「獅子に牡丹」をモチーフに絵柄を考案した。
壁画制作には、地元住民ら延べ90人が参加。絵柄を印刷した紙を壁面にのりで貼り付け、紙を水でぬらしてたわしでこすり取り、インクのみを壁に残す「転写」という技法を使って、12月から約1カ月かけて完成させた。
倉敷さんは、「ボタンは獅子にとって安住の地の象徴。松戸市が誰かにとって安らげる場所であってほしい」と話した。【真田祐里】