安珠が写し撮る少女の眼差し。シャネル・ネクサス・ホールで個展
写真展」が開幕した。会期は2月12日まで。
安珠は東京生まれの写真家。学生のときにモデルとしてスカウトされ渡仏し、パリコレをはじめ様々なショーで活躍を見せた。帰国後の1990年に『サーカスの少年』を出版するとともに写真家に転身。以降、少年少女をテーマにした作品を発表し続けている。2014年には『Dream
Lining☆つなぐ夢、千年忘れない』を刊行し、全国32ヶ所で写真展を開催。パリのボン・マルシェでも展示が行われた。
安珠は幼少期、生死を彷徨った体験から生の有限性に気がついたという。その体験をもとにて、「少女の行方」「サーカスの少年」を皮切りに、ライフワークとして「少年少女の世界」を写真や文章で表現し続けてきた。
シャネル・ネクサス・ホールで初の個展となる本展では、撮りおろされた最新作約50点と映像、過去の作品を交えて展示を構成。『不思議の国のアリス』や『青い鳥』
などの児童文学の世界がモチーフとなり、ある少女が目にし、心に留めた出来事に内省を深めていく過程が表現されている。会場をたどる体験が、ひとつの物語のように展開していく構成だ。
作品の随所に登場するのはリボン。無限(∞)を思わせるフォルムは少女性を象徴するものだが、少女たちの眼差しは力強く、不確かな現実のなかで真理を求めるかのようだ。会場でぜひ向き合ってみてほしい。