森山未來の神戸アートプロジェクト「中長期的に見守って」
2021年9月に本格始動した同プロジェクトは、「パブリックアートをつくらずとも、パブリックにアートはすでにある」という自由な発想のもと、神戸市全体をアート作品に見立てて、新たな魅力を発見しようという試みから誕生。国内さまざまな場所からアーティストが集い、実際に神戸に滞在しながら、リサーチや作品製作に挑み、「新しい観光のあり方」を模索してきた。
森山は、俳優としてドラマや映画で活躍する傍ら、ひとりのダンサー・振付師として、また近年ではいちアーティストとして、滞在型アート施設「AiRK」(2021年4月)の運営などに携わってきた。今回のプロジェクトでは、アートの対する創作意欲がつきることがない森山が神戸市からのオファーを受け、さまざまな事業を手がける山峰潤也らとタッグを組み、半年にわたって進めてきたものだ。
「みなさんと自由にリサーチを重ねてきたなかで、言葉として、作品として『今、神戸で何が起こっているの?』『どう神戸が面白くなっていくのか?』と、中長期的に見守っていただけたらと思います」と、プロジェクトの未来に期待を込める森山。
今回の総括イベントでは、この半年間で森山や山峰はじめ、アーティストらが神戸で出合った物や場所、人や出来事などの考察や、またそれぞれが製作したアート作品について紹介(現在神戸市の各所で展示中)。山峰は「神戸は海もあれば山もあり、下町もある多種多様な神戸。アーティストたちはユニークな視点で見つけてくれて、学びがあった」と語った。
アーティストのひとり・今西泰赳は、神戸の灘エリアを中心に根付く「酒文化」をテーマに「菊正宗酒造」や「剣菱酒造」などにインタビューをしながら「直会(なおらい)」という作品を製作。「奈良県出身だったので、『神戸は特別』という憧れを抱いていましたが、プロジェクトを通してさらに深まった」と、神戸での滞在製作を振りかえった。
『KOBE Re:Public ART PROJECT』の作品展示は3月12日まで特設会場ほか、「大倉山公園」「名倉市場」「ローズガーデン」などにて。また、演劇や大道芸などのパフォーマンスもおこなわれる。詳細は公式サイトにて。
写真/バンリ