学習のAI活用は「好機と課題」 G7教育相会合宣言 注目は今夏の文科省指針
生成AIを巡っては、リポートや読書感想文などの課題にも対応できるため、考える力を奪うなど子供の学習に悪影響を与えかねないほか、生成された文章に偽の情報が含まれたり、個人情報や著作権の保護に抵触したりする恐れなどが懸念されている。一方、活用法次第では新たな学習の方向性を見いだすことができるとの見解もある。
議長を務めた永岡桂子文部科学相は会合で、「どのように使いこなすかとの視点も考慮すべきだ」と指摘。宣言には、生成AIを含めたデジタル技術の進展は「学習や指導に好機をもたらすと同時に、教育システムに課題を提示している」との文言が盛り込まれた。さらに課題やリスクを継続的に把握することの重要性で一致し、デジタル技術の正負双方の側面を意識した内容となった。
文科省が今夏にも公表を予定するAIの活用ガイドラインでは、利用を認める生徒の年齢や規制の場面などを示すとみられる。宣言を踏まえて内容を充実させ、議長国として世界に存在感を示したいところだ。
宣言は新型コロナウイルス禍で停滞した留学や国際交流を「コロナ禍前よりも拡大させる」方向も明記。ロシアのウクライナ侵略も念頭に、危機的な状況にある世界の子供が公平で質の高い教育にアクセスできるよう目指すとも宣言した。
政府の教育未来創造会議(議長・岸田文雄首相)は4月、令和15年までに日本人学生の海外留学を50万人にし、外国人留学生を40万人受け入れるとする政府目標を提示。今後は海外の高度人材に選ばれる教育を提供するとともに、海外の高度人材が国内に定着するための就職支援政策の充実などが求められる。(大泉晋之助)