クラシックこそ新しい。〈ビュリー〉成功の秘訣がこの1冊に。
布張りの表紙にゴールドの箔押し文字が施されたクラシックな書物。これはフランスの総合美容専門店〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉(以下ビュリー)をめぐる様々な言説をまとめた一冊だ。それは1803年に創業した香水専門店の謎めいた歴史をたどる物語であり、失われたブランドを蘇らせたラムダン・トゥアミとヴィクトワール・ドゥ・タイヤック夫妻の物語であり、現代におけるブランディングの指南書であり、デザインのコンセプトブックでもある。
2014年にパリの左岸で復活したビュリーは、古来より続く製法やデザインを踏まえた製品/店舗づくりが支持を集め、現在では世界で20以上の店舗を構えるブランドに成長した。その試みは、デジタル化する日常の中、リアルなショッピング体験が失われつつある現代において「小売業」を救おうとするラムダンの挑戦であったことも、この書物から窺える。重量約3kgに及ぶ大著はコーヒーテーブル・ブックでは終わらない、知恵と知見にあふれている。
ラムダン・トゥアミと彼のデザインエージェンシーの監修による440pに及ぶ大著。ゲシュタルテン出版/6,700円。