日本では4年半ぶり! 鹿児島睦の展示会が開催中。
眺めるだけで心がはずむカラフルな色。動物や植物の愛らしい模様。飾っておきたいけれど、料理を盛ればなおさら楽しくなる。鹿児島睦が作る器がどれだけ魅力的なのかは、新作を眺める来場者たちのキラキラした表情を見ればすぐわかる。
陶器のほかにも、立体作品や版画・壁画などの平面制作、テキスタイルブランドとの協業にプロダクト制作など、ジャンルレスに活躍する鹿児島。ここ数年、新作展は海外を中心に行われていたが、今年は4年半ぶりに東京で開催。会場の〈IDÉE TOKYO〉には、みんなが待ち望んでいた1点ものの器がずらりと並ぶ。楕円や四角に成形した素地の上には、フリーハンドで描かれた草花や果実や動物の姿。が、それらは「絵」ではなく「図案」、つまりパターンだと鹿児島は言う。
「絵ならキャンバスに描くほうがいいですよね。でも私が作るのは料理を盛るための食器です。なので、抽象性をもった図案がちょうどいい。そのうえで、使う人が楽しくなるものを作りたいんです」
「長く続けている技法の器から、今回あらたに試みたスタイルの器まで、たくさんのバリエーションを見てもらえるようにしています」と鹿児島。黒地に色とりどりの植物を散りばめた皿や、下絵具を引っ掻いて落とすことで模様を表す「掻き落とし」の器はおなじみのもの。ただし、「昨日より今日のほうが上手じゃなくちゃダメだと、いつも思っています」という言葉通り、美しさの精度が以前よりぐっとあがっていることに、ファンならきっと気づくだろう。
一方、今回初めて手がけたのは、昔からある古典文様をアレンジした変形縞模様。本来は等間隔に並ぶ端正な縞を、あえて不揃いのよろけた線で描いたという。そのへなへなした縞模様の上には、制作途中で釉薬がこぼれ落ちた跡も。
「きれいすぎると味気ないので、うっかり落ちちゃったものも受け入れることにしているんです」