永井さん「江戸時代を書いていてよかった」 山本周五郎賞贈呈式
永井さんの山本賞受賞作「木挽町(こびきちょう)のあだ討ち」(新潮社)は江戸時代の芝居小屋が舞台。武家生まれの美少年が成し遂げた見事な「あだ討ち」の真相をミステリータッチで描く。来月19日に選考会を控える直木賞の候補作にも選ばれている。贈呈式で、山本賞選考委員の今野敏さんは「物語と謎解きを過不足なく成立させる構成力に舌を巻いた。心地良く江戸の町に連れて行ってくれる手腕にも驚いた」などと評した。
緊張した面持ちで壇上に立った永井さん。芝居小屋に集うさまざまな出自の人々の一人称語りが特徴的な受賞作に触れ、「ライターをやっていた時期に、たくさんの方にインタビューさせていただいた。その人たちのしゃべり方や空気感、経験が少しずつ自分の中に蓄積されていったのだと思う。ですから、これまで出会ったすべての方々に御礼申し上げたい」と感謝の言葉を述べた。その上で「この賞の名を背負う作家として恥ずかしくないように、これからも胸を張って精進していきたい」と健筆を誓った。
この日は、第36回三島由紀夫賞と第47回川端康成文学賞の贈呈式も併せて行われた。