片岡真実×長谷川祐子×蔵屋美香:3館長が語るこれからのアート界に必要なものとは? 国際性と美術館に関するディスカッションをレポート
日本、アジア、そして世界各地のアーティストによる展覧会を行ってきたパネリスト3人。まず司会の山峰からは、国内の美術館や大規模な国際展などにおいて展覧会を行ううえでどのような経験をしてきたか、世界のコンテクストのなかで活動するにはどうすればいいのかといった、アートの「国際性」について3人に質問がなされた。
現在はイタリアにて、修士課程のキュレトリアル・コースでゲスト教授として教えているという長谷川。海外では、アジア人であり女性であるという自らのことを相対化する必要性があるという。
2001年に第7回イスタンブールビエンナーレの総合コミッショナーを務めた際には、同展で初めてアジアから招聘されたキュレーターだったことから「キュレーター・フロム・ジ・アザーサイド」と呼ばれた。ヨーロッパとアジアをつなぐ大都市で開催される同展を企画するうえで、ひとつの明確な哲学、ヴィジョンが必要であると考え、「Egofugal」という造語のテーマを掲げた。ego=エゴや自分自身の過去を持ちながら、fugue=拡散が意味するように、周りと新しいかたちの調和、ダンスをしていくというイメージだ。
このように海外で仕事をするにあたり、「たんに日本のことに詳しいということではなく、それまで自分の考えてきたプロセスや多くのアーティストと仕事をしてきたプロセスをふまえ、自分の考えの核をはっきり持って出ていくことが非常に大切だと思います。それは今後海外へ出ていくキュレーターでもアーティストでも同じです」と、後進へのアドバイスを送った。
また「他者と自分、自然とソサエティという二項対立を超えていくこと」や、コラボレーションの重要性についても言及した。