コロナ禍で消えかけた「挨拶」の文化…アフガニスタンが行う挨拶時の「キスの回数」が多すぎる
アメリカの免疫学者であるアンソニー・ファウチは、コロナのパンデミックが始まったとき、「率直に言って、今後二度と握手をするべきではないと思う」とまで語った。
とはいえ、コロナ禍が収束しつつある今、挨拶の形も元の姿を取り戻し始めている。フランスなどで実践されている「キス」もその一つだ。
挨拶でキスする、というのは日本人からすればかなりあけっぴろげな愛情表現にも見えるが、実は世界各地で見られるものだ。
例えばベルギー人は、「フランス人が挨拶で2回キスするなら、我々はフレンドリーさをアピールするために3回にしよう」などと躍起になるという。感情をあらわにしないイメージが強いロシア人でさえ、2~3回キスしたのちにハグをする人が多い。
ただ、最もユニークな「挨拶キス」の文化が育まれているのは、どうやら中東のようだ。
アフガニスタンでは、同性同士の挨拶の際、目を合わせて「アサラムアライカム」(こんにちは)と言いながら顔を寄せ、互いの頬にキスをしあう。
一部の地域では、その数がなんと8回にも上るという。アフガニスタンの男性はひげを蓄えていることが多いので、最初は「ジョリッ」とした感覚に戸惑う人も多い。
アラビア半島南端部に位置するイエメンには、手の込んだバージョンの挨拶がある。手を握りあい、まずは片方が握った相手の手を自分の口に持ってきてキスし、それが終わると相手も同じ動作を繰り返す、というものだ。
中東や、コンゴなどアフリカの一部では、年長者への敬意を示すために額にキスをすることもある。
インドやバングラデシュでは、高齢の女性に挨拶する際、足にキスをする。一般的に清潔だとされていない足にキスすることで、強い服従を示すのだそうだ。
制限が緩和されつつある海外旅行の際は、現地の人々の「挨拶」にも注目してみよう。(若)
(1)乳房を吸う(ニューギニア島)
来訪者は村の首長の妻の乳房を吸う。ニューギニアの村で行われた
(2)ペニス握手(オーストラリア)
ペニスを相手の手に押しつけ、ゆっくり引き抜くことで挨拶する
(3)自分の顎ひげをなでる(日本)
アイヌ民族の一部が行った挨拶。両手をこすり合わせた後に行う
(4)胸を強く叩く(フエゴ諸島)
相手の胸を平手で3発強烈に叩き、役割を交代して同じことを行う
(5)サメの歯で自傷(タヒチ)
嘆き悲しむようなジェスチャーとともに、サメの歯で自らを傷つける
「週刊現代」2023年5月6・13日合併号より