湯畑に包まれるような空間体験を。群馬・草津に隈研吾の設計による温泉宿が誕生。

群馬県の名湯・草津温泉といえば、温泉街の中央に広がる湯畑がアイコンだが、その湯畑を一望できるロケーションに隈研吾の設計による温泉宿〈草津温泉きむらや〉が開業した。そのコンセプトは「湯畑の立体化」というように、湯畑を五感で感じられる宿となっている。最も特徴的なのはその外壁で、湯畑にある浅間石をそのまま配置。しかもその石の配置は、湯畑から立ち上がる湯気の描くカーブに着想を得たデザインだ。またインテリアにも浅間石を砕いて擦り込んだ和紙やテラゾーを使っており、湯畑を立体的に再現したかのような建築になっている。
〈草津温泉きむらや〉は、木造2階建てで、1階は天ぷらレストラン、2階が1室のみの客室となっている。ツインベッドルームで、温泉や暖炉もあり、ゆったりとくつろげる空間だ。浴室は湯畑を一望できる配置ゆえ、お湯に浸かりながら湯畑に空間全体で包まれるような体験ができる。
実はこのお湯も特別だ。草津には主に6つの源泉があり、最も有名なのが温泉街の中心にある源泉・湯畑。そして歴史が古いのが、この〈草津温泉きむらや〉に引湯している白旗源泉。共同浴場「白旗の湯」に引かれているこの白旗源泉はその昔、源頼朝が発見し入浴したという言い伝えがある由緒正しき源泉なのだ。
地元の素材を使い、温泉の有機的な特徴を再現することで、草津のランドスケープを立体化したこの温泉宿。名湯に浸かりながら、建築を全身で浴びる体験をぜひ。