2022年のターナー賞、ヴェロニカ・ライアンに決定。史上2人目の黒人女性の受賞
今年のファイナリストに選ばれたのは、ヘザー・フィリップソン、イングリッド・ポラード、ヴェロニカ・ライアン、シン・ワイ・キンの4名。ヴェロニカ・ライアンが今年度のターナー賞を受賞し、2万5000ポンドの賞金が贈呈される。同賞における黒人女性の受賞は、2017年のルバイナ・ヒミドに次いで史上2人目だ。ほかのファイナリスト3名には、それぞれ1万ポンドの賞金が贈られる。
ヴェロニカ・ライアンは、1956年モントセラト島プリマス生まれ。現在はニューヨークとブリストルを拠点に活動。その作品は、ブロンズ、石膏、大理石、テキスタイル、ファウンド・オブジェクトなど幅広い素材を用いて、歴史、帰属、人間心理の問題を探求している。
4人のアーティストの作品を紹介する展覧会は、2023年3月19日までテート・リヴァプールで開催中。審査員は、「4人のアーティストが、来場者に豊かな感覚を提供する強力で多様なプレゼンテーションを行っている。身体、自然、アイデンティティの複雑さを解き明かし、素材の探求の境界を押し広げた」とコメントしている。
また、ヴェロニカ・ライアンは「彫刻という言語を個人的かつ詩的に拡張していること」が評価され、受賞に至ったという。「彼女の最近の作品は、通常忘れ去られるような拾得物や工芸品を組み合わせ、変位、治癒、損失といった相互に関連するテーマに裏打ちされている。また、ギャラリーや市民スペースにおける空間、色彩、スケールの使い方に顕著な変化が見られると賞賛された」(リリースより抜粋)。
今年の審査員を務めたのは、イレーン・アリスティザバル(BALTICキュラトリアル&パブリックプラクティス部門責任者)、クリスティーン・アイーン(リヴァプール・ジョン・ムーア大学
現代美術講師)、ロバート・レッキー(スパイク・アイランド ディレクター)、アンソニー・スピラ(MKギャラリー
ディレクター)。審査委員長は、アレックス・ファーカーソン(テート・ブリテン ディレクター)とヘレン・レッグ(テート・リヴァプール
ディレクター)が共同で担当した。
1984年より開催されているターナー賞は、これまでギルバート&ジョージ、リチャード・ロング、アニッシュ・カプーア、アントニー・ゴームリー、ダミアン・ハースト、ヴォルフガング・ティルマンスなどのアーティストが受賞してきた。
近年は、4人のファイナリストが1グループとして共同受賞した2019年度
や、新型コロナウイルスの影響で10人のアーティストにそれぞれ1万ポンドの奨学金を授与した2020年度
、そして5組のファイナリストがすべてアート・コレクティヴだった2021年度など、注目を集め続けている。