【今週見るべき展示会】コスモポリタンな建築、遠藤利克の新作、鏑木清方の幻の傑作にふれる
遠藤利克は、ドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレなど国際的なアートシーンで高い評価を獲得してきた日本の美術家だ。1970年、学生だったころ、日本の前衛芸術運動「もの派」やコンセプチュアリズム、ミニマリズムの作家を集めた国際展『人間と物質』に衝撃を受け、それらに抗するような独自の作品世界を構築していった。特徴的なのは、水や火、木、空気、肉などを使った彫刻作品やインスタレーション。「聖性」や「考古学的思考」をキーワードに、素材をあるがままの「もの」として見せるのではなく、それらを燃やしたり、円形に並べたりと、制作のプロセスを通して、世界の物語や人間の根源的な欲動を語らせる、もうひとつの言葉のように扱ってきた。
1999年にSCAI THE BATHHOUSEで開いた個展では、画廊の床から水が泉のように湧き出てくるインスタレーションを発表。そこには、一面水浸しのギャラリーを観賞者が歩くという異様な光景があった。同画廊で開かれている本展では、遠藤が2000年代半ばから展開している、彼の死生観を投影した「空洞説」シリーズの新作、また、そのためのプラン(平面作品)を見せる。ギャラリーの中心に置かれているのは、真っ黒に焼かれた、中身のない柩(ひつぎ)の彫刻。その空洞に、何を見い出せるか。
『遠藤利克』
会期:~ 5月14日(土)
会場:SCAI THE BATHHOUSE
住所:東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
時間:12:00~18:00
休廊日:日・月曜・祝日
料金:無料
電話:03(3821)1144