スイッチバック、手動転轍機、トマソン・トンネル…ファン垂涎の鉄道遺産8選
空気抵抗を減らすために戦闘機のような流線形のロングノーズが特徴。1995(平成7)年に登場した500系新幹線は、時速300kmを実現させた。のちに登場する700系新幹線につながる、歴代新幹線の中で最も人気の高い名車である。
線路脇の樹木や建造物が車両と接触しないかなどを測定する「建築限界専用車」。かつては車体の周りに簪のように張り出した腕木がどの場所で接触したかを目視していたので「おいらん車」と呼ばれたが、最新車両はレーザー光線の照射で高速測定する。
線路だけでなく道路も走れる「世界初」の「デュアル・モード・ビークル」が昨年末に徳島県にある阿佐海岸鉄道でデビューした。
だが、同様の車両は戦前、すでに陸軍が開発していた。狭軌から広軌までタイヤ横の鉄車輪を移動させ、戦地の中国や東南アジア各地で実働させていた。
標高差640mを克服するため、38ヵ所で折り返しながら走る世界屈指の多段スイッチバックとして知られるのは、富山県の立山砂防工事専用軌道だ。
緑の山の中に刻まれた線路を行くトロッコ列車を空撮で捉えた一枚がこれである。
作家の赤瀬川原平が、プロ野球の巨人に在籍した外国人選手ゲーリー・トマソンから名づけたとされるのが、「トマソン・トンネル」だ。その意味するところは、「無用の長物」。徳島県のJR牟岐(むぎ)線にある。
当初は丘をくりぬいて造られたが、その丘が宅地開発のために削り取られ、今は用をなさないトンネルだけが長閑な姿で残っている。