ただ、ぼうっと眺めたい。目[mé]が渋谷〈SKY GALLERY〉で展示を開催。
「現代人はとにかく忙しい。ただぼーっとしてほしいんです」。そう語る現代アートチーム・目[mé]の企画展が、〈SHIBUYA SKY〉46階の〈SKY GALLERY〉で開催中だ。エレベーターで上がった先に現れる圧巻の絶景と、日常を揺さぶる目[mé]の作品が競演する本展。訪れる人がひとときの間「無」になれる、非日常の空間となっている。
展示の特徴はあえて「非言語」で構成されていること。会場には作品の説明や順路といったテキストの情報は何も置かれていない。鑑賞者は慌ただしい都市の運動から抜け出し、作品を「ただ、眺める」ことに集中できるのだ。
目[mé]メンバーであるアーティスト・荒神明香とディレクター・南川憲二が本展の構成について教えてくれた。
「もともと作品のイメージソースとなる写真や映像をたくさん撮り溜めていました。美術館だと作品の説明が求められますが、今回は〈SKY GALLERY〉でしかできないことをしたいなと。説明よりも “眺めること” の延長で作品を見せたいと考えました」(荒神)
展示では作品の横にモニターがあり、作品と関係する都市の映像が映し出される。抽象的なキャプションの位置付けだ。例えばメインの展示作品は、糸で吊された無数の時計の針が動きながら、窓の外からの光を反射してキラキラと輝く作品。横のモニターには空を飛ぶ鳥の群れが映っている。各映像と作品をどう関係づけるかは鑑賞者に委ねられている。
「展示でこれを見て! というのがしんどいような気もしていました。圧倒的な眺望が美術館の壁のような役割になるのが〈SKY GALLERY〉という場所。訪れる人がたとえ作品を見逃しちゃっても、許してもらえるような展示にしたいと思いました」(南川)