世界が注目する鬼才・岡田利規とダンサー湯浅永麻が初タッグ!必見ステージの稽古場レポート
稽古場のドアを開けて中に入ると、いきなりテーブルの上に立つ湯浅永麻さんの姿が目に飛び込んできた。稽古しているのは、おそらく三部構成の第二部にあたるカフェのシーンで、テキストのト書き(状況や登場人物の動作などを指定した文)には「テラス席に佇む<わたし>」とある。これは佇んでいた<わたし>が、おもむろにテーブルに乗っかったところなのか。それとも、「佇む」をダンス化した振付として、テーブルに乗るという行為が行われたのだろうか……。
彩の国さいたま芸術劇場のダンス部門の創造発信プロジェクトであるこの作品は、世界有数のコンテンポラリー・ダンス・カンパニーのひとつネザーランド・ダンス・シアター(NDT)出身で、ダンサー・振付家として多ジャンルのアーティストとのコラボ経験も豊富な湯浅永麻さんと、世界規模で大活躍中の現代演劇界のトップランナーで、小説『ブロッコリー・レボリューション』で今年の三島由紀夫賞を受賞するなど文芸界でも注目される岡田利規さんとの初顔合わせ。句読点の少ない長文の現代口語せりふと俳優の所作を連動させたユニークな身体表現で、批評性に富む演劇作品を世に問う岡田さんが、柔軟な思考で引き出しの多いダンサー湯浅さんから、どんな言葉と身体を引き出すのかが、大いに注目されている。
岡田利規(おかだ・としき)
演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。“想像”を用いた独特な言葉と身体の関係性による方法論や、現代社会への批評的な眼差しが評価され、国内外で注目を集める。2005年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。主宰する演劇カンパニー・チェルフィッチュでは2007年に同作で海外進出を果たして以降、世界90都市以上で上演。近年では欧州の公立劇場のレパートリー作品も手がける。2005年7月『クーラー』で「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD2005 ー次代を担う振付家の発掘ー」最終選考会に出場。森山未來、酒井はな、湯浅永麻などダンサーとのコラボレーションも多数。