ヴァロットンから神坂雪佳、冨樫義博まで。今週末みたい展覧会ベスト6
19世紀末のパリで活躍したナビ派の画家のひとりで、黒一色の革新的な木版画で名声を得たフェリックス・ヴァロットン。そんなヴァロットンの版画作品が堪能できるのが、10月29日から三菱一号館美術館で開催される「ヴァロットン―黒と白」だ。
ヴァロットンの制作のなかで真骨頂ともいえるのが木版画。本展では、世界有数のヴァロットン版画コレクションを誇る三菱一号館美術館が約180点からなるコレクションを一挙初公開。なかでも、希少性の高い連作《アンティミテ》《楽器》《万国博覧会》《これが戦争だ!》などにはとくに注目が集まる。
黒と白のみでつくりだされる世界に焦点をあて、未だとらえきることができないヴァロットンの魅力を体感する貴重な機会となりそうだ。
会期:2022年10月29日~2023年1月29日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(金曜・会期最終週平日・第2水曜~21:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、12月31日、1月1日(ただし、10月31日、11月28日、12月26日、1月2日、1月9日、1月23日は開館)
料金:一般 1900円 / 高校・大学生 1000円 / 中学生以下無料
「つながる琳派スピリット 神坂雪佳」(パナソニック汐留美術館)
神坂雪佳(かみさか・せっか 、1866~1942)は、明治から昭和にかけ、京都を中心に活動した図案家・画家。その展覧会「つながる琳派スピリット
神坂雪佳」が、パナソニック汐留美術館で開催される。
明治時代の京都に登場した神坂雪佳は、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳と尾形乾山らに代表される「琳派」の芸術に強い関心を寄せ、これを手本に、暮らしを彩るデザインを生み出した。また琳派の表現手法にとどまらず、その芸術家たちの活動姿勢にも共感し、自ら実践したことで、「近代琳派・神坂雪佳」とも呼ばれている。
本展覧会は、有数の琳派コレクションで知られ、雪佳にも早くから注目し顕彰してきた京都・細見美術館が監修。雪佳の代表的作品に、雪佳が手本とした琳派の美をうかがわせる本阿弥光悦、尾形光琳らの名品を加え、絵画・図案集・工芸品など約80点を展覧するものだ(会期中、一部展示替えあり)。
会期:2022年10月29日~12月18日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(11月4日、12月2日~20:00)※入館は閉館30分前まで。
休館日:水(11月23日は開館)
観覧料:一般 1000円 / 65歳以上 900円 / 大学生 700円 / 中高生 500円 / 小学生以下無料
本を通じてアートな刺激を。「TOKYO ART BOOK FAIR 2022」(東京都現代美術館)
日本初のアート出版に特化したブックフェア「TOKYO ART BOOK
FAIR(以下、TABF)」が今年も東京都現代美術館でスタート。国内外から約200組の出版社、ギャラリー、アーティストらが参加している。
今回注目したいのは、ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「Guest
Country」だ。6回目の開催となる今回は「フランス」に焦点を当てる。フランスのファッションブランド、アニエス
ベーのアート誌『ポワンディロニー』や、セーヌ川沿いの「ブキニスト」を模した什器に専門書が並ぶエリア、日仏の絵本を読むことができるエリアなどが出現している。
「『花椿』資生堂創業150周年記念号 Special
Exhibition」「ボッテガ・ヴェネタ」「リソグラフ特別企画:Risopioneers」の3つの展示も行われており、アートブックを購入するだけでなく、展覧会としても楽しめる催しとなっている。
会期:2022年10月27日~30日
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F、エントランスホール ほか
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:30~19:00
料金:一般 1000円 ※事前予約制
予約サイト:https://artsticker.page.link/TABF2022
公式サイト:https://tokyoartbookfair.com
セラミックに見るピカソの遊び心。「ピカソのセラミック―モダンに触れる」(ヨックモックミュージアム)
洋菓子「シガール」で知られるヨックモックのプライベート美術館「ヨックモックミュージアム」。その第3弾となるコレクション展「ピカソのセラミック―モダンに触れる」が開幕した。
ヨックモックミュージアムは、ピカソの幅広い芸術活動のなかでも、第二次世界大戦後に傾倒したとされる「セラミック作品」を中心に収集した世界有数の美術館だ。本展はピカソのセラミック作品をクラシックと融合する「モダン」の視点でひも解き、3章構成で紹介している。
「Ⅰ
キュビスムと現実/虚構の狭間」では、20世紀初頭に若かりしピカソが創造し、その芸術の基盤ともなった「キュビスム」の視点からセラミック作品を取り上げる。 「Ⅱ
メタモルフォーズと遊戯」「Ⅲ
ダンス/運動:セラミックは踊る」では立体作品ならではの視覚的効果を見出したり、同時期の作家の影響から新たな表現が生み出した、ピカソの遊び心が見て取れる。
会期:2022年10月25日~2023年9月24日
会場:ヨックモックミュージアム
住所:東京都港区南青山6-15-1
電話番号:03-3486-8000
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)、年末年始
料金:一般 1200円 / 学生 800円 / 小学生以下無料
マンガ画界屈指の才能に迫る。「冨樫義博展 -PUZZLE-」(森アーツセンターギャラリー)
『週刊少年ジャンプ』にて『幽☆遊☆白書』(1990~1994)『レベルE』(1995~1996)、『HUNTER×HUNTER』(1998~)といった人気作を手がけてきたマンガ家・冨樫義博の画業35周年を記念する企画展 「冨樫義博展
-PUZZLE-」が、森アーツセンターギャラリーで開幕した。2023年1月9日まで。
本展は、冨樫直筆の原稿やカラーイラストをはじめ、350点以上の貴重な資料が展示される。展示空間は、プロローグ、「幽☆遊☆白書」、「レベルE」、「HUNTER×HUNTER」、「“奇”生物の世界」、「冨樫義博」の6つのエリアで構成されている。
ストーリーとキャラクターはもちろん、こだわりの描写についても紹介。また、「HUNTER×HUNTER」エリアでは、これまで公開されたことのない、作品に登場する特殊能力・「念能力」の設定資料が特別に展示される。
会期:2022年10月28日~2023年1月9日
会場:森アーツセンターギャラリー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F
開館時間:10:00~20:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 2000円 / 中学・高校生 1500円 / 小学生~4歳 1000円
ジェンダーの未来を装いから問う。「装いの力ー異性装の日本史」(松濤美術館)
生まれながらの性別から、衣服の力によってその性を越境する試みである「異性装」。日本におけるその歴史と表現をたどり、異性装のこれまでとこれからを考える「装いの力ー異性装の日本史」は東京・渋谷の松濤美術館で10月30日まで。
日本では、その歴史においてしばしば異性装を試みることで、従来の性別とは異なる社会的な立ち位置を得ようとした人々が存在した。本展は、古代から現代までの様々な絵画や衣裳、写真、映像、マンガなどの作品を通して、各時代の異性装の様相を通覧することで、その性の越境を可能とする「装いの力」について考察することを促すものだ。
会場は大きく2つのエリアに分かれており、全8章で構成。地下1階は奈良時代から江戸時代まで、2階からは明治時代以降における近・現代の異性装の事例が取り上げる。『古事記』、《新蔵人物語絵巻》、谷文晁《石山寺縁起》、女武者、歌舞伎、明治以降の推移など、興味深い観点が示されている。
会期:2022年9月3日~10月30日 ※会期中一部展示替えあり
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生・60歳以上 500円 / 小中学生
100円 ※土日祝、会期最終週は日時指定予約制。詳細は美術館HPにて公開。