東博の国宝展から岡本太郎、大阪の具体まで。今週末みたい展覧会ベスト6
1872年に発足し、日本最古の博物館として知られる上野の東京国立博物館。同館の開館150年を記念し、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が現在開催されている。会期は12月11日まで。
日本でもっとも長い歴史を持ち、最大級の規模を誇る東博が、その代表的な所蔵品を一挙に公開するというのは今回が初の試み。展覧会は2部構成で合計150件(うち国宝89件、重要文化財24件)が展示される。
注目したいのは、第1部「東京国立博物館の国宝」で、東博所蔵の国宝89件(日本最多)すべてが会期中に公開されるという点だ。現在、日本には902件の国宝があるが、その約1割がこの展覧会で見ることができる貴重な機会となっている。展覧会レポートは
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会期:2022年10月18日~12月11日
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
住所:東京都台東区上野公園8-36
時間:9:30~17:00(金土~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 900円
史上最大スケールでの回顧展、東京へ。「展覧会 岡本太郎」(東京都美術館)
1970年に開催された日本万国博覧会のテーマ館《太陽の塔》で知られ、今日でも幅広い世代の人々を魅了する芸術家・岡本太郎(1911~96)。その岡本芸術を史上最大のスケールで回顧する「展覧会
岡本太郎」の巡回展が上野の東京都美術館で開催中だ。
1929年に渡仏し、異国の地で研鑽を積んだ岡本は、抽象表現に影響を受けながら画家としてのアイデンティティを確立。帰国後に自らの芸術理念の核となる「対極主義」を提唱した。また、『今日の芸術』などの著作においても、多彩な文化・芸術論を展開。《太陽の塔》を頂点とする巨大な彫刻や壁画など生活のなかで生きる作品群は、「芸術は大衆のものである」という岡本の信念そのものを象徴しており、没後もなお、その生涯は作品とともに多くの人を惹きつけている。
本展では《太陽の塔》(50分の1の作品を展示)や《明日の神話》といった代表作だけでなく、再制作の初期作品4点や新発見とされる3点なども展示され、岡本太郎その人に迫ることができる。なお、巡回前の大阪展とは展示構成が大きく変わり、東京展のみの出品作も多数展示されているという点にも注目が集まっている。展覧会レポートは
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会期:2022年10月18日~12月28日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
時間:9:30~17:30(金~20:00) ※入室は閉室の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1900円 / 大学生・専門学校生 1300円 / 65歳以上 1400円 / 高校生以下無料 ※日時指定制
「具体」解散から50年。「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」(大阪中之島美術館/国立国際美術館)
前衛画家・吉原治良(1905~72)が創始した具体美術協会(具体)の解散から50年となった2022年。展覧会「すべて未知の世界へ ー GUTAI
分化と統合」が大阪中之島美術館と国立国際美術館で共同開催される。会期は10月22日~2023年1月9日。
具体美術協会は1954年、兵庫県・芦屋で結成された美術家集団。絵画をはじめとする多様な造形実践を通じて、「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示」することを試みた。吉原による指導のもと、会員たちがそれぞれの独創を模索した18年の軌跡は、今なお国内外で大きな注⽬を集め、戦後日本美術のひとつの原点として確立している。
本展は、具体の活動拠点であった「グタイピナコテカ」が建設された場所、大阪・中之島における初の大規模な具体展でもある。大阪中之島美術館で具体を「分化」し、それぞれの独創の内実に迫りつつ、国立国際美術館では具体を「統合」し、集団全体の模索の軌跡を追う。
会期:2022年10月22日~2023年1月9日
会場:大阪中之島美術館、国立国際美術館
住所:大阪中之島美術館 大阪府大阪市北区中之島4-3-1 / 国立国際美術館 大阪府大阪市北区中之島4-2-55
電話番号:大阪中之島美術館 06-4301-7285 / 国立国際美術館 06-6447-4680
開館時間:10:00~17:00 (国立国際美術館は金、土~20:00) ※入場は閉場の30分前まで
休館日:月(ただし、1月9日は両館開館 /
1月2日は大阪中之島美術館のみ開館) ※大阪中之島美術館は12月31日、1月1日休館 ※国立国際美術館は12月28日~1月3日休館
料金:2館共通券 2500円 / 大阪中之島美術館 一般 1400円 / 大学生 1100円 国立国際美術館 一般 1200円 / 大学生 700円 /
2館とも高校生以下・18歳未満は無料
オピー世界初公開のVR作品個展。「Julian Opie『OP.VR@PARCO』」(PARCO MUSEUM TOKYO)
日本でも高い人気を誇るイギリスの現代アーティスト、ジュリアン・オピー。その世界初のVR作品個展が、東京・渋谷のPARCO MUSEUM
TOKYO(渋谷PARCO 4F)でスタートした。会期は11月14日まで。
ジュリアン・オピーは1958年ロンドン生まれ。風景や人物など、アートにおける伝統的なモチーフをピクトグラムやアニメの表現を連想させるシンプルな描画と色彩表現により簡略化し、最小限の要素で表現するスタイルで世界的に知られている。また、オピーは日本美術にも造詣が深く、歌川広重や喜多川歌麿などの浮世絵の収集家でもあり、その影響は作風にも表れている。
オピーの作品はこれまで平面、映像、立体と様々な手法で発表されてきたが、VRによる作品は今回が初。会場では参加者がVRゴーグルを装着し、複数の展示空間を体験するというものになる。オピーの表現がVR空間でどのように展開されるのか、ぜひその場で体験してほしい。展覧会レポートは
こちら。
会期:2022年10月21日~11月14日
会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
開館時間:11:00~20:00(最終日~18:00) ※入場は閉場の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1500円(事前予約制) ※ショップは入場無料
東洋美術の名品を一挙紹介。「古美術逍遙 ― 東洋へのまなざし」(泉屋博古館東京)
住友家のコレクションを収蔵する公益財団法人泉屋博古館が今年3月にリニューアルオープンさせた六本木の泉屋博古館東京。ここでリニューアル記念展のパート3として、「古美術逍遙
― 東洋へのまなざし」が今週末23日まで開催中だ。
住友家が蒐集した美術品は、仏教美術から日本絵画・書跡、茶の湯道具・香道具、中国絵画・書跡、文房具にまでおよび、その内容は多岐にわたる。本展は、そんな住友家所蔵品のなかか、古くより人々のまなざしを集めてきた東洋美術の名品の数々を一挙に展覧するものだ。作品の時代幅は前漢時代(紀元前2世紀)から江戸時代(19世紀)。出品点数79件のうち、国宝2件と重要文化財10件が含まれる。
会期:2022年9月10日~10月23日
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00~18:00(金~19:00) ※入館は閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 600円 / 中学生以下無料
「存在した/するかもしれない」関係性を描く。ミヤギフトシ「American Boyfriend: Banners」(Yutaka Kikutake
Gallery)
沖縄出身の現代アーティストで、アーティストコレクティブ・XYZ collectiveの共同ディレクターも務めるミヤギフトシ。その個展「American
Boyfriend: Banners」が東京・六本木のYutaka Kikutake
Galleryにて、今週末22日まで開催されている。本展は、東京・南青山のギャラリー・void+での個展(9月27日~10月29日)と同時期開催となる。
本会場では、作家がたびたびモチーフとして扱ってきた「banner(旗)」に刺繍でテキストが綴られる作品のほか、写真と映像作品からなるプロジェクト「American
Boyfriend」の新作を展示。
2012年から継続している作家のライフワークともいえるこのプロジェクトは、「沖縄人男性とアメリカ人男性が、沖縄という土地で恋に落ちることは可能か」というテーマから始まり、あらゆる時代の文学、映画、音楽を参照・引用。戦争やその時代における社会規範など歴史が持つ不自由さのもとに描かれる登場人物たちの、親密な関係性がいくつもの断片的な物語を紡いできた。そこでは、生まれ育った沖縄でミヤギがセクシュアルマイノリティとして感じてきた自身と社会との様々な断絶や、戦後の日本とアメリカ、そして、そのあいだに位置する沖縄の歴史が並行して語られている。
会期:2022年9月27日~10月22日
会場:Yutaka Kikutake Gallery
住所:東京都港区六本木6-6-9 2F
電話番号:03-6447-0500
開館時間:12:00~19:00 ※ 最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
料金:無料