空き家から100年前の箪笥をレスキュー! 〈家’s〉のアップサイクル家具。
この20年で倍、820万戸に及び、社会課題となっている空き家問題。富山県の〈家’s(イエス)〉プロジェクトはそこに風穴を開けるかもしれない。空き家に赴いて100年近く経過した箪笥を “レスキュー” し、アップサイクル家具《P/OP(tansu×acrylic)》として加工販売。100年近く経った古箪笥と蛍光色のアクリル板のコントラストが新鮮だ。プロジェクトの創始者・伊藤昌徳さんに話を聞いた。
「空き家の残置物のうち、骨董としての価値があるものは約10%。でも本当はもっとあるのでは? と思ったのがきっかけです。
箪笥って基本的に背面が壊れるんです。正面から見えないところだから、例えば前から見える3面は桐だけど背面は薄い杉、などグレードが違うことが多い。それで古箪笥を普通に桐で修復しておもしろいんだっけ、と考えて、桐の特徴である軽さと加工のしやすさを受け継いだ現代の素材はアクリルだと思ったんです」
「古い箪笥はとの粉(木材に使う石を細かく砕いた塗料)が日射とカビで黒くなっているのですが、水とたわしでゴシゴシ洗って落とすと無垢の色になります。そこに真逆ともいえるアクリルの蛍光色を組み合わせることで、新しい表情になりました」
箪笥と同様に古い木彫り熊を現代アートとして再生させる《Re-Bear Project》も行っている。
「箪笥を回収するときに『木彫りの熊もないですか?』と聞いて回ってます。回収後は約60名のクリエイターにプロダクトに合わせてコラボを依頼。値段はアーティスト自身に決めてもらいました」
最近は海外での活動にも力を入れているという伊藤さん。
「直近半年で韓国、ロンドンでのポップアップを予定しています。彼らは元々日本の箪笥を知らないのでデザインだけで注目し、ショップの什器などに使ってくれています。今後も世界に日本の古箪笥の魅力を発信していきたいです」
富山県高岡市に本社を構える。2,300円~の家具サブスクリプションサービス「yes」のほか、店舗やホテルの内装リノベ「サーキュラーリノベーション」事業も。