テート美術館展の必見ポイント。120点の作品でたどる光とアートをめぐる200年の軌跡
展覧会は、「精神的で崇高な光」をテーマにした展示室からスタート。神が人間にもたらした災いを描いたジェイコブ・モーア《大洪水》、ロマン主義を先駆けたウィリアム・ブレイクの《アダムを裁く神》など、宗教的主題を光と闇により表現した18世紀末~19世紀初頭のイギリス絵画が並ぶ。2003年に制作された、巨大な卵型が光沢を放つ闇を抱え込むアニッシュ・カプーアの彫刻「イシーの光」も同じ空間に立つ。
ジョン・マーティンによる《ポンペイとヘルクラネウムの崩壊》は、紀元79年に起きたイタリア・ヴェスヴィオ山の噴火と逃げ惑う群衆が精緻に描かれる。暗い空に走る白い稲妻、吹き上がるマグマの赤い光が禍々しい。宗教的主題において暗闇にゆらめく光は希望を表わすが、歴史上の大災害から着想した本作では人間を圧倒する自然の力が強調されている。