<ふるさとの彩り>黒から生まれる「藍色」 色合い、指先が頼り
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染料の発酵した匂いを放つ黒々とした液体から、美しい藍色に染まった布と10本の指が現れた。
手の持ち主は藍染め作家の丹羽花菜子さん(38)。美術大学で染め物や織物の勉強をする中で日本の伝統的な染め物に関心を持ち、卒業後、藍染め工房の門をたたいた。7年前に茨城に移り住み、2020年に筑波山のふもとに工房を構えた。
藍染めは空気に触れると色が変わりだすため、布を染液に浸したまま色をもみ込んでいく。染液の温度や布の縫い目、しわを感じ取るのは指先が頼りだ。
4年前からタデアイの栽培を地域の友人たちと始め、染料の「すくも」を作っている。「茨城の風土の色を出したい」と語る丹羽さんの手は、洗っても淡い藍色だ。「色が落ちると『サボっていたな』ってそわそわしちゃうんです」【西夏生】