『阪神の絶対的守護神スアレスが退団…“葵の紋所”を失ったチームと矢野監督の不安(権藤博)』へのユーザーの意見まとめ
痛恨の流出になった。
阪神を退団することになったスアレス(30)である。今季42セーブを挙げて2年連続セ・リーグのセーブ王になった絶対的な守護神。“野球は抑え”が持論の私からすれば、これは痛すぎる。矢野燿大監督もショックを受けているに違いない。当然、球団は新助っ人を探すだろう。手っ取り早いのは確かだが、首尾よくパワーと制球力を兼ね備えた投手を連れてこられたとしても、それがそのまま通用するかどうかは分からない。それが、抑えという特殊なポジションの難しいところだ。
「野村ID野球」支えた選手以上に担当スコアラーが怒られた
ストッパーは、水戸黄門でいえば、葵の紋所。出しただけで相手をひれ伏させるには、ニセモノでは通用しない。威光を持たせるには、使い方も重要なのだ。つまり、監督のハンドリング次第ということになる。
■ヤクルト高津監督は「つくりあげた」
ヤクルトを20年ぶりの日本一に導いた高津臣吾監督がいい例だ。シーズン途中にマクガフを抑えに抜擢。手痛いリリーフ失敗がありながら、高津監督はビクともしなかった。メンタルのフォローをしながら、言葉だけでなく、抑えとして使い続けることで強固な信頼関係を築いた。結局、マクガフはリーグ3位の31セーブ。ヤクルト優勝の大きな要因になった。
オリックスとの日本シリーズでも2度の救援失敗をすぐにチャンスを与えることで取り返させ、最後は2回3分の1を託すという凄まじい起用で日本一を引き寄せた。来季のマクガフは恐らく、今季以上に絶対的な存在になる。高津監督は驚くべき度量と胆力で、守護神をつくり上げたのだ。
翻って、矢野監督はどうか。何十年にひとりと言っていい新人の佐藤輝明を使い切れず、4番でスタートした大山悠輔のことも信用し切れなかった。逸材・藤浪晋太郎はどうしたのか。先発だ、リリーフだ、敗戦処理だと役割をコロコロしているうちに、結局、今年も戦力にし損なった。高卒3年目で14勝を挙げた2015年以降、苦しいシーズンが続いている。もう6年だ。能力の高さは誰もが認めているのだから、使う方に原因を求めざるを得ない。
巨人にも言えることだが、とっかえひっかえしていては、選手は育たない。いずれにしろ、抑え投手を失った阪神の来季は厳しい。チーム再建に向け、矢野監督には相当な覚悟が必要だと思う。
(権藤博/野球評論家)