「リュウノスケオカザキ」の岡﨑龍之祐が 初披露の彫刻作品にこめた思い
自然の造形に注目した「Nature's Contours」シリーズや、縄文土器などから着想を得たシルエットの「JOMONJOMON」シリーズなど唯一無二のデザインで話題を集めた。
そのインパクトは世界にも広がった。2022年にはファッションデザイナーの登竜門として知られる「LVMHプライズ2022」のファイナリスト8人の1人にも選出され、8月には、その活躍への期待などからForbesの「30 UNDER 30 JAPAN」に選出された。
この春には、代官山THE FACE DAIKANYAMAで個展「002」を開催(5月4日まで)。ドレスのほかに、「PIMT」と題した木製の彫刻作品を発表し、新しい一面を見せている。
本記事では、「002」の展示作品から「PIMT」の魅力を探る。
■彫刻作品「PIMT」の着想は?
「PIMT」は木材を重ねるようにして制作され、すべてシンメトリーに整えられた彫刻作品だ。
主な素材は木材の“ヒノキ”。今回、作品に木を使おうと考えたきっかけは、2022年4月に旅した日光東照宮で「木組み」を見たことだったという。
「五重塔で使われているのは宮大工(神社仏閣の建築や補修に携わる大工)の伝統技術です。その技術をそのまま使おうと思ったわけではなく、木が組まれて積み上がって層になっている感じが、人の生活と自然と祈りが結びついたように感じました。その力強さを作品で表現してみたいなと」
その後6月ごろから、ヒノキの香りに包まれながが「PIMT」の制作は進んでいった。
「PIMT」を近くで見ると、ヒノキの表面のテクスチャーが、ツルツル、ザラザラ、ボコボコなど多様になるようつくり込まれている。
「木材にいろいろな質感を与えることで、より“その時”を生きている感覚になるのではと考えました。作品を見る角度によって、表情も変わります」