山田悠個展「Nocturne」都市、自然、人間を相対的にとらえ、物事の関係を測り直す

1986年生まれ、武蔵野美術大学油絵学科卒業後、フランスのエコール・デ・ボザール・ド・ディジョンで空間デザインとアート課程を修了した山田は、変動する都市環境の中で自らの行為をどのように作品として成立させることができるかに関心をもちながら、都市、自然、人間を相対的にとらえ、物事の関係を測り直している。
本展で展示されるのは、満月の夜に街の建造物のシルエットに沿って月が移動して見えるように山田が一歩進むごとに1枚撮影した、約800枚の写真からなる映像作品。月の動き、建造物、そしてアーティストの視線がカメラという機械を通して像を結ぶとき、現代の天動説のようなパーソナルでロマンティックな体験と、天体運動や都市空間というそれぞれのシステムと人間の相関性を俯瞰する、スケールの大きな視座を見て取ることができる。2020年に黄金町バザールで発表された作品を再編集し、新たにサウンドを加えた。