都営住宅の空き家を活用。東京都が若手アーティストに創作スペースを提供
。4月にオープンした同スペースの内部が、報道陣に公開された。
このスペースは、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団
アーツカウンシル東京が「東京文化戦略2030」の一環で行う事業。渋谷区の笹塚と幡ヶ谷にある都営住宅の空き物件を活用し、創作場所の確保に苦しむ若手アーティストに利用しやすい料金でスペースを提供し、継続的な活動を支援するものだ。
笹塚と幡ヶ谷の2ヶ所にはそれぞれ3つのスタジオスペースが設置。加えて、アーティスト同士や地域住民と交流できる共有スペースも設けられている。第1期(4月17日~6月28日)では、おおえだゆき、山田悠、三田村春花、山本麻以、早川佳歩、山田悠太朗の6名が利用している。
抑えられた使用料は同スペースの特徴のひとつ。73日間の利用で笹塚と幡ヶ谷スペースの使用料はそれぞれ4万880円と3万5770円であり、日割りの賃料はわずか490円~560円だ。
利用アーティストのひとりであり、昨年の瀬戸内国際芸術祭2022にも参加した山田悠は「ほぼ毎日来ている」と話す。これまでサイトスペシフィックな制作で展示会場にて作品をつくることが多いため、スタジオを持っていなかったという山田。コロナ禍の影響で移動が制限されるなか、新たな表現方法で作品を提示したいという思いで、今回のスペース利用を応募したという。
アーツカウンシル東京は、活動3年未満の新進芸術家・団体を対象にした「スタートアップ助成」
をはじめ、様々な助成事業に注力。また、公益財団法人東京都歴史文化財団傘下のトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)でも、国内外の若手クリエーターやキュレーターに向けて滞在制作やリサーチ活動をサポートしている。
今回の「START Box ササハタハツ」について、東京都生活文化スポーツ局文化振興部
文化戦略推進担当課長・宮田直行は、様々なアーティストにもっと気楽に利用してもらえるのが目的のひとつだとしつつ、「『START
Box』という名称が示すように、これからアーティスト活動を開始する人々がここで活躍の場を広げていけたら」と期待を寄せている。