勝敗やゴールがない「ピクニック紀」の新しい働き方とは 遠山正道 x 尾和恵美加
本誌・WEB連動企画として、スープ専門店「スープストックトーキョー」の創業者で、数々の事業を展開する株式会社スマイルズの代表と同時にアーティストとしても活動を続ける遠山正道と、「右脳爆発系社長」を名乗り、多くの企業に「アート思考」を活用したコンサルティングを行うBulldozer代表取締役 尾和恵美加に、語ってもらった。
■自ら仕掛けて「ワクワク」を増やす
尾和:Bulldozerは”アート思考”を使って、次の時代の当たり前を価値創出するコンサルティング会社です。芸術家が作品を通じて世界に影響を与えるように、自分や会社のパーパスを原点に未来を描き、一人一人がその人にしか生み出せない価値をかたちにして会社や社会に還元していくプロセスをワークショップとして提供しています。
遠山さんは、事業家であると同時にアーティストとしても活動しておられ、「新種の老人」というタイトルでYouTubeも始められましたね。
遠山:昨年、60歳になったので、「老人」と名乗る権利があるかなと思って。ビジネスの世界では定年だけれど、私は100歳まで仕事をするつもりでいます。22歳から100歳まで仕事をするから、60歳は半分の少し手前。これからの後半部分に、前半では見えていなかった価値があると思うんですよね。
それを「新種の老人」と呼んでみて、思いついたことを1人で楽しくやってYouTubeで流しています。お金は大して儲かっていないけれど、自分の表現を何百人、何千人が観てくれていることの方がずっと豊かです。それを見た人が「自分の場合はどうかな」と考えたり、「“新種の中年”もありかな」と思ったり、何かやってみたりしてくれたらと思います。アートで言う、投げかけみたいなものですね。
尾和:「新種の老人」が増えると、時代が明るくなりそうですよね。とはいえ、思いつくとか、やりたいことがない人もかなり多いと感じています。
遠山:「新種の老人」になるのは、老人になってからでは遅いと思うんですよね。一昨年の年賀状に、これからの働き方は三つあると書きました。お声がかかるか、自ら仕掛けるか、そのどちらでもないか。いまも、一定期間どこのプロジェクトからも声がかからないと退職せざるを得ない会社もあります。これからはどんどんそうなっていくと思うんですよね。