「渋谷スクランブル交差点」水没の未来予想図は描き換えられるか?
渋谷駅東口地下広場に、そうなってしまった光景が描かれたアートウォールが出現している。「今、行動を起こさない場合に迎えるであろう未来」とタイトルがついたこの画は、廃墟と化した日本の街などの空想作品を描いてきた、アーティスト「東京幻想」によるものだ。
一目瞭然、こんな渋谷の、日本の未来を望む人はいないだろう。画の細部に目を凝らすと、こうした光景の原因となった気温上昇のニュースや、日本に暮らす人々がどんな現実に直面しているかを物語る広告などが描かれている。渋谷駅を通る際はぜひ立ち寄って、じっくり確かめられたい。
じつは、その隣にもうひとつの画がある。「今、行動を起こすことで実現できる未来」とタイトルのついたその画には、なぜかモザイクがかかっている。
そのモザイクの上に、RPGゲームさながら、「あなたの選択で未来は変えられる」と「通り過ぎる」か「参加する」かのどちらかを選ぶよう観る者に促すポップアップ画面が現れている。そして、「参加する」場合には、右横にあるQRコードを読みとって、特設サイトへと誘導される。
この「RE:VISION ART PROJECT」は、アートやエンタメの力で社会問題の解決に挑むクリエイティブ集団「SEAMES」とUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の日本の公式支援窓口である「国連UNHCR協会」によるコラボプロジェクトだ。
このプロジェクトは「気候変動と難民問題」について、日本でも広く「自分事」として考えてもらうだけでなく、連帯して実際に行動を起こしていくまでを目的にしている。
今回の具体的な行動は、UNHCRが展開する難民支援活動への寄付だ。1口500円から気軽に寄付できる。
寄付50口ごとに特設サイト上で、「今、行動を起こすことで実現できる未来」にかかっているモザイクがひとつずつはがされていく仕掛けになっている。寄付が1万口集まれば、その全容が明らかになる。
SEAMES代表のコミンズ・リオは言う。
「こうしたチャリティは日本だと、マザー・テレサみたいに、どこか自己犠牲の精神を伴うようなイメージが付きまとっていてハードルが高いです。自分の生き方とソーシャルアクションは別でいいんだという考え方のシフトチェンジを、アートやエンタメの力で広めることが使命だと思っています」