明治から現在まで、東京藝術大学で買い上げとなった優秀作品が一堂に。「買上展」藝大コレクション展2023が開催へ
同大学では、 前身である東京美術学校でも卒業制作を買い上げて収蔵する制度があり、現在所蔵されている「学生制作品」は1万件を超える。本展ではそのなかから約100件を厳選。東京美術学校時代から今日にいたる日本の美術教育の歩みを振り返るとともに、本学における買上制度の意義を見直し、今後を見据えるための試みとなる。
第1部「巨匠たちの学生制作」では、明治から昭和前期までの東京美術学校卒業制作を中心に、自画像などを含めて美校生たちの創作活動の全貌を明らかにする。
おもな出品作品は、横山大観《村童観猿翁》、菱田春草《寡婦と孤児》、和田英作《渡頭の夕暮》、小磯良平《彼の休息》、東山魁夷《スケート》、高村光太郎《獅子吼》、松田権六《草花鳥獣文小手箱》、富本憲吉《音楽家住宅設計図案》、吉田五十八《レクチュアホール》。ほかにも青木繁、萬鉄五郎、藤田嗣治など15名の《自画像》含め約50件が展示される。
第2部「各科が選ぶ買上作品」では、買上制度の70周年を契機に、藝大における美術教育の歩みや今日の傾向などを読み解くもの。近年は先端芸術表現、文化財保存学、グローバルアートプラクティス、映像研究など研究領域が広がり、表現方法も多様化。本展では、これらを各科ごとにエリアを設け、選定した作品を数点ずつ展示していく構成となる。
おもな出品作家は、河嶋淳司、櫃田伸也、丸山智巳、橋本和幸、鎌田友介、越田乃梨子、シクステ・パルク・カキンダ、荒神明香、岡ともみ、坂田ゆかり。
明治から現在まで、東京藝術大学で買い上げとなった優秀作品が一堂に会するまたとない機会となる本展。藝大とその美術教育の変遷をぜひ目の当たりにしてほしい。