新収蔵のピエール・ボナール《プロヴァンス風景》が初公開。春のMOMATコレクション展に注目
ボナール(1867~1947)は、19世紀末から20世紀半ばにかけて活躍したフランスの画家で、1920
年代以降の豊麗な色彩や抽象度の高い表現を特徴とする作品は、「視神経の冒険」(ボナール本人の言葉)や、「絵画の中の絵画」といった形容で語られてきた。
《プロヴァンス風景》では、南仏・プロヴァンスの風景を複雑な色調を組み合わせながら描いた。ボナールの絵画の色彩性と構成力がよく伝わってくる作品のひとつだ。展示室(2階ギャラリー4)では同作とともに日本画、洋画、現代絵画など23点が共演し、新たな視点を与えるという。
また、小特集として「白い漫画、黒い漫画」も開催。1950年代の日本で、絵画と漫画が接近し密接に交流していた時代の表現をコレクションから抜粋。こうした動向は、評論家の瀧口修造が「黒い漫画」と名づけたものの、60年代以降の少年向け漫画のヒットともに、絵画と漫画はふたたび異なる道を歩むようになる。
会場では往時の動向をいまに伝える、岡本太郎や間所紗織の絵画や、久里洋二、真鍋博の漫画など、計50点以上の作品と資料を展示。当時の絵画と漫画の距離感を実感できる。