【今見るべきアート展】都内ギャラリーで見たいアート2選
SHIMURAbros(シムラブロス)は、姉ユカと弟ケンタロウによる姉弟ユニット。1999年より共同制作を行ない、以降、映画をベースに、表象あるいはイメージが生まれるメカニズムを主題にしたメディアアートや彫刻、インスタレーション作品を手がけてきた。世界各地の美術館に加え、カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭などでも作品を上映、展示。現在は美術家オラファー・エリアソンのスタジオに研究員としてベルリンに滞在し、創作活動を行っている注目の作家だ。
『見かけの虹- SpeciousRainbow』と題した本展で紹介するのは、彼らが2009年から取り組んでいる「Trace」シリーズの最新作。円形の抽象的な小さな彫刻(あるいは立体絵画)のようなかたちをした作品だが、光を反射・屈折させる光学ガラスを素材に用いており、見る位置によって色やそのグラデーションが違って見えるーーいわば、新しい映像体験装置。多様な映像表現技術が発展した現代において、プリミティブな光と色の戯れの美しく驚くべきかたちで再提示しようとする姿勢が面白く、SHIMURAbrosらしい。実際にこのオブジェの前に立つと、そこで光によるさまざまな現象が起こっているのがまざまざと感じられて、またこの小さなオブジェ自体が、光や色により現象を捕獲しているようにも見えて、なんとも楽しく、愛おしい。
SHIMURAbros 個展『見かけの虹- Specious Rainbow』
@東京画廊+BTAP
開催中。2月18日(土)まで。
アーティスト・イン・レジデンス事業や展覧会の企画などを通じて、同時代の表現の発信、作家の国際交流を支援してきたアートセンター「トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)」。この『ACT(Artists Contemporary TOKAS)』展は、TOKASのプログラムに参加経験のある作家を中心に、注目すべきアーティストを取り上げるエキシビションだ。作家のステップアップの場としても注目されており、ここで紹介された作家が、以降、活動や発表を広げていくケースも多い。今年度で5回目となる本展では、海老原靖、鮫島ゆい、須藤美沙の3名の作家が作品を発表する。
海老原は、近年、マコーレー・カルキンやオードリー・ヘップバーンなど銀幕のアイコンをモチーフにしてきた画家。本展では、モニタに映る映画ワンシーンや俳優の顔を一時停止した状態で切り取り、油彩で表現した「NOISE」シリーズを発表。鮫島の作品は、金継で異なる陶器の破片をパッチワークのようにつなぎ合わせ新たなものにする「呼び継ぎ」の技法を、絵画に転用させたもので、古代遺跡や使われなくなった道具、伝承、オカルトなどを題材にした作品を展示する。天体観測や神話に関心を寄せてきた須藤は、紙にピンで無数の穴をあけ、星々や銀河、惑星などの図像を浮かび上がらせる作風で知られる作家だ。本展では、太陽観測衛星「ひので」が捉えたX線画像を素材に、研究者へのインタビューなどをもとに、イメージを広げたインスタレーションを発表する。