囲碁の芝野名人「運が良かった」 十段奪還へあと1勝 第3局
四隅の星を占め合う二連星から黒番の許十段が左下三々に入る流行の布石で始まった対局。芝野名人が白56(13五)から仕掛けていった。さらに白62(11八)と手堅く打ったのに対し、許十段が1路右の黒63とハネ出して戦いが始まった。
右上白98(19四)では先に白202(17九)に打っておいたほうがよく、黒が打ちやすい展開に。芝野名人は白118(6八)から反撃を開始し、白120(6六)から124(5六)と切断して盛り返した。許十段も黒135(4三)と最強に応戦し、形勢は互角。ただ、黒199(12四)が緩く、芝野名人が混戦を抜け出した。
各所でコウが発生したうえ、持ち時間が少なくなった終盤、互いに少しずつミスが出たが、白214(19十)から216(19八)が冷静で、芝野名人が激戦を逃げ切った。
十段奪還に近づいた芝野名人は「とくに終盤、正しく打てないところが多く、運が良かった。まずかった部分を修正して、次に臨みたい」と引き締めた。カド番に追い込まれた許十段は「ずっと難しい展開で、中盤は想定していたより悪かった。反省して向かいたい」と語った。